HAYATOの夏休み 埼玉西武球場で野球観戦
超零細企業のわが社の社長は
農業に関係するある商品の開発に力を入れている。
その商品の制作に退職をした主人が携わることになった。
その商品の宣伝と品質検査を受けるために
大阪梅田にある農業新聞の出版社と
さいたま市にある国立の研究所である農研機構に
出かけることになった。
7月30日
社長
秘書役の私
商品制作役の主人
ムードメーカーのHAYATO
4人は新商品を車に乗せ
九州の西の端っこの小さな町を出発した。
広島で一泊
静岡で一泊
埼玉で一泊
神戸から大分までのフェリーで一泊
ハードスケジュールである。
8月1日 さいたま市で仕事を終わらせた後
同行したHAYATOの為に
西武線所沢駅 横の「所沢パークホテル」にチェックインをした。
午後4時である。
西武線所沢駅 徒歩2~3分の
所沢パークホテル
7月30日
九州から中国自動車道を通りひたすら東名高速を走り
さいたま市まで行った。
退屈な車中を和ませるため
大人の勝手でHAYATAOを連れて行った。
ご褒美に野球観戦が大好きなHAYATOの為に
西部球場のチケットを準備した。
タイミング良く
仕事が終わった日に
埼玉西武ライオンズ と 福岡ソフトバンクホークスの試合が
行われることになっていた。
HAYATOは長い道中を
この時間のために私達に付き合ったのである。
長旅で疲れている72歳の社長をホテルに残し
私と主人はHAYATOを連れて
自家用車を所沢パークホテルに置き
ホテルから2~3分の西武所沢駅から
電車で西武球場へと向かった。
約10分で所沢駅から 西部球場駅に着いた。
HAYATAOは瞳を輝かせて西部球場に入場した。
私は帰りのことを考えて
臨時便である全席指定の特急券の購入を怠らなかった。
こういうことにおいて
私はちゃっかりと抜かりがなかった。
疲れ果てているにも関わらず
平気でギューギュー詰めの電車で帰るほどの情熱は
とっくに還暦を過ぎた私達夫婦にはなかった。
西部球場駅に隣接した球場は
熱気であふれていた。
西部ライオンズの本拠地で
地元の熱狂的なファンの勢いに押されながら
私達は遠慮がちに 福岡ソフトバンクホークスを応援した。
14対6と
福岡ソフトバンクホークスの圧勝だった。
興奮が冷めないまま
8月2日の朝が訪れた。
又
遠い道のりを延々と走って
九州へと帰らなければならなかった。
所沢パークホテルの窓から
西部球場が見えていた。
所沢の町に 暑い夏の朝がやってきた。
小学生最後の夏休みが始まったばかりの出来事だった。
仕事に追われながら
私達はHAYATOを育てた。
HAYATOの胸に
キラキラとした思い出が積み重ねられていると
信じて。