2021年02月28日 05:42
「お母さん 空が綺麗よね。」
「空気が澄んでいるからね。
海の中も底まで透き通っているよ。」
「今日の空も とっても綺麗だったね。」
最近
みいは澄みきった空に魅了されていた。
深々と帽子をかぶって
下ばかり見て
せかせかと小走りに歩くみいが
空を見上げて感動していることに
肩の荷が下りたような気がした。
大病(摂食障害)を患って
生死をさまよったみいは
すっかり心身ともに健康になった。
命の灯が消えてしまいそうなみいを抱えて
苦しんだ日々は
ひと昔前の出来事になった。
お茶目で明るいみいが復活したのである。
活発な彼女から
詩的な言葉が飛び出してくることが
なんだかとても新鮮だった。
世の中は
コロナ騒動でとても物騒だった。
大好きな旅行も行けず
多くのお客さまを迎える我が社の営業も
自粛されている。
全面的に
仕事中心の生活を強いられていた私は
時間に余裕ができ
週に一度の日曜日に
きちんと休みが取れるようになった。
早朝から夜まで
仕事に追いまくられていた生活から
解き放されると
私生活の面で
ほったらかしてやり残していたことが
山ほどあった。
摂食障害を乗り越えさせたい娘のみいと
幼かった孫のHAYATOを抱え
心が折れてしまいそうな時
希望をもって楽しく暮らそうという思いで
旅に出かけて行ったのは
6~7年間の事だった。
その間の 思い出を
アルバムにしていなかったのである。。
いつか・・・ いつか・・・と
思いながら
手を付ける時間をつくれなかったのであった。
今年になってから
毎夜 毎夜
私はアルバム作成に追われていた。
「お母さん
アルバムなんて邪魔になるだけよ。
思い出は胸の中だけで十分だと思うけどな。」
とみいは 私の行動をあきれた。
私はみいの言葉を無視して
毎晩
パソコンの写真を印刷し
せっせとアルバム作成に精を出していた。
一冊 二冊 三冊・・・・
旅に出かけた思い出のシーンが
形として物になった。
机の上に
アルバムの資料を
乱雑に散らかしたまま出勤し
難なく仕事を熟し定時の17時に仕事を終え
18時頃帰宅し
再び写真を印刷しアルバムを仕上げた。
家事全般をみいが受け持っているため
仕事から帰った私は
自由に使える時間が沢山あった。
沢山の思い出が
楽しそうな写真から
再び鮮明によみがえってきた。
2015年 HAYATOは小学2年生だった。
旅のテーマは・・・
= ベトナムにワニを釣りに行こう!=
みいが言った。
「お母さん 写真ていいものだね。
行ったとこ 忘れてたけど思いだしたよ。」
「HAYATO こんなに可愛かったんだね。」
出来上がっていくアルバムを
覗き込んで
声変わりした太い声で
HAYATOは言った。
「ここ 覚えているよ。
ここも・・ ここも・・・
ここも覚えているよ。」
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2016年 HAYATO小学3年生
マレーシア
旅のテーマは
=安全で近い外国へ行ってみよう=
「 この植物は虫を食べるんだヨ!」
摂食障害で苦しんだみいを抱え
歩んできた道のりは
今 振り返ってみると
濃い霧に包まれて
胸の奥深く沈み込んでしまい
他人事の出来事のように思えた。
出来上がっていくアルバムの中の
わが家の積み重ねてきた日々は
キラキラと輝いていた。
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2017年 HAYATO小学4年生
オーストラリア パースへ
旅のテーマは
== インド洋を見てみたい==
「マーライオンを観たい」という
HAYATOの希望を叶えるために
パース~シンガポール経由~福岡