摂食障害の娘へ 深夜の訪問
午後9時10分
玄関のチャイムが鳴った。
お布団に入ろうとしている孫と
顔を見合わせた。
「 だあれ? こんな時間に・・ 」
私は自分のパジャマを見た。
う~~~~ん
ちょっと くたびれているなぁ
人前に出るようなパジャマじゃないなぁ・・・・。
しかし、主人は入浴中。
仕方がないので
孫を先頭に玄関に向かった。
玄関で、すりガラス越しに見えた人影に
孫はあわてた。
土間に飛び降り
きちんとそろえてあった靴を蹴散らし
サンダルを片足につっかけたまま
玄関の鍵をガチャガチャ開けようとした。
私も
その人影に即座に誰の訪問かがわかった。
孫のふっくらした小さな手にかわって
私が鍵のロックをはずした。
孫のはやる気持ちが
痛いほど伝わってきた。
玄関が開き、
孫の目の前には
孫の視線にあわせ、かがんだ婿の姿があった。
「 とんちゃん !! 」
わが子を包む親の・・ 父親の視線は
誰でも同じである。
包み込むようなあたたかさを持っている。
優しい眼差しで屈み孫を見つめる婿の姿が
そこにあった。