摂食障害の娘へ 離婚に向かって
死の淵を見てきた娘を
心穏やかに過ごさせてやりたい・・・・。
と思った私のもくろみは
意外な方向に進みだした。
「 お母さん あいつが離婚しよう と言い出した。」
「 うち 悲しくも 寂しくもないよ。」
と
娘が告げたのは
別居を提案してから間もなくの事だった。
娘は明るく穏やかに見えた。
家事全般が大好きな娘の作る晩御飯は
品数もバラエティに富み美味しかった。
しかし
心の中は誰にも見えない。
孫の娘に対する態度は一変して優しくなった。
「 ママ ただいま~~。 」
私と共に幼稚園から帰った孫の声も
家の奥まで聞こえるように高くなった。
二人の間で数日置きに
離婚の話が進んでいるようである。
この時期に・・・・
今の状態の娘に・・・・
離婚の話を告げた婿に私はあきれたが
今 この苦しみを抜けることが出来たなら
きっと
娘は救われる・・と考えた。
婿の笑顔
婿の優しい気配り
婿のたくましさ
は 私の娘 みぃには通用しなかった。
私は
心の中に「 この男では 娘はだめだ ! 」
と
はっきりわかったような気がした。
娘の今の身体、 神経が
どれほどのダメージを受けているかが
まったく理解できていない婿。
一人の人間が
それも自分の妻と呼べる人間が
生きるか 死ぬかの時に・・・。
今
こんな話を持ちかけなくても・・・・という
腹立たしい思いに駆られる。
しかし
今がチャンスかな とも思える自分がいる。
今
婿との生活を断ち切ることができたら
娘の長い苦悩を終わらせることが出来る・・・
と考えた。
12月を迎え
相変わらず団地に暮らす婿。
スパッと流れを変えてやれない自分にいらだちと不安が
押し寄せてくる。
そんなある夜、
晩御飯前の孫に異変が起こった。
チックが始まった。
まだ乳幼児だった頃
言葉も十分に発しない頃に
娘と婿との口論が絶えない頃
激しかった孫のチックが
また 始まった。
孫には何も言わないが
自分の周りに何かが起ころうとしているのが
理解できるようである。
「 お母さん
心配するといけないので黙っていたけど
うち
又 体がおかしい。
倒れるかもしれんから・・・。 」
と
ストーブの前で頭を抱える娘。
私は 大きな間違いを起こしているのだろうか。
「その話はしばらく待ちなさいよ。」
と止めてやるべきだったのだろうか。
又
解らなくなった自分がいる・・・・。
進んでは迷い
進んでは悩む
どうしようもない自分がいる・・・。