摂食障害の娘へ 一言
チクタク
チクタク
チクタク・・・・
午前0時30分
チクタク
チクタク
チクタク・・・・
午前1時30分
・・・午前2時
眠れない・・・・・が
スースーと心地良い寝息を立てる孫のほっぺを
さわりながら
布団の中のぬくもりから
抜け出せないでいた。
チクタク
チクタク
眠れなかった。
心に悲しみが充満して眠れなかった。
昨夜お風呂上り。
買ったばかりの
月刊誌「 てれびくん3月号 」を開いている孫の横で
ストーブにあたっている娘。
「 ばあば これ読んで 」
2月12日(日)放映で 最終回を迎える
チビッコ達のヒーローである
「 宇宙戦隊 ゴーカイジャー」の記事があった。
「 ちっちゃな字やねぇ
ママに読んでもらいなさい。」
・・・・ ・・・・ ・・・・
目を閉じたままで
返事をしない娘。
「 ママ 気持ち悪い。」
雑誌を開いてうつむいたままポツリと一言。
「 なんでぇ? 気持ち悪くなんかないよ 」
私は動揺した。
「 だって ・・・・」
雑誌を踏みつけて私の膝にしがみついてきた孫。
黙って下を向いて目を閉じている娘。
私は言葉を失った。
他人の気持ちに敏感な孫は
自分の発した言葉を気にしてか・・・
娘と私の気持ちを察してか・・・
私の膝に抱かれしがみついて目を閉じてしまった。
重い 時間が過ぎた。
私は 言葉がなかった・・・。
沈黙の後娘はゆっくりと
一生懸命腰を上げ
お風呂へと向かった。
私の目の前で
骨だけになり とがったおしりが
ゆっくりと持ち上げられる様に
どっと 悲しみが胸いっぱい充満した。
数日前
おやすみ前の歯磨きをしている際に
お風呂からあがってきた娘の裸を一目見ると
目をそらし
私に顔を押し付けてしがみついた孫の姿が
思い出された。
眠れなかった・・・。
拒食症の娘は一児の母である。
私は
大切な娘と
大事な孫の
間で うろたえている。
午前3時過ぎ
こんこんとせき込み
嘔吐が始まった孫
数回の嘔吐のあと
パジャマを着替えたり
うがいを繰り返し
ウンチをして朝方眠りについた。
下痢でないことに一瞬ほっとした。
目が覚めた後
孫とゆっくりとした時間をつくり
私は孫に話さなければならないことがある。
ママの病気と
私達家族がママにしてあげないといけないことを。
ママの病気が治り
充分に孫の世話ができる日が来ることを告げ
それまで
あたたかくママを待ってあげることを約束しなければいけない。
うろたえるだけの私に終止符を打ちながら
一日 一日を過ごしていかなければ・・・。
もしかしたら
娘に残された時間は少ないのかもしれない。