摂食障害の娘と共に 家族

パールじゅんこ

2012年05月15日 02:22



5月11日(金) 
5月12日(土)
   
と 試験外泊した娘を迎え
私はそわそわとした時間を過ごした。

5月11日 娘は
同じ言葉を繰り返した。
帰りの車中でもそうであったように
家の中でも繰り返して訪ねた。


 「 おねえちゃんは・・・?
    MIHOは・・・?
   いつものように出かけてるの? 」

 「  そうよ 
      おねえちゃんは おねえちゃん家にね。
      MIHOは MIHOん家にね。」


 私はオブラートに包んで答えた。
 二人とも結婚してママになっていることは
 敢えて言わなかった。

 「 HAYATOはいつものように出かけているの? 」


 「 元気に幼稚園に行ってるよ。
   いつも元気に行ってるよ。 」


 「 おかあさん 今日は仕事は? 」

 「 今日は休んでるよ。」

  繰り返した。
   
     何回も  何回も・・・。

  スムーズに出てこない言葉に
  腹を立てることもなく繰り返した。


午後5時30分
元気いっぱいHAYATOが幼稚園から帰ってきた。

今日の日を心待ちにしていたHAYATOは
数日前から
ゴールデンウイーク最終日に釣りに出かけ
同行した
大好きなおじさまから頂いたマトウダイを
久々にママといっしょに食べる
今晩のおかずにリクエストしていた。


手術前の習慣どおり
家の周りを掃くみいのそばで
しゃがめなかったみいの為に作った
タイヤ菜園の野菜を収穫した。
   
    

 
冷凍していたマトウダイを解凍して
私はいつもより早い時間に台所に立った。

みいは相変わらず
 「 おかあさん しごとは? 」 と 繰り返した。

私は何回も穏やかに答えた。

台所仕事が大好きだったみいは
食事の準備にはまったく興味を示さなかった。

子供のころから
いつも手伝う習慣が身についているみいの態度に
不思議な気がした。


私は敢えて口に出さず
一人で食事の準備を始めた。




    


    キッチンにも
    たくさんの緑があふれた。
    買ったのは キュウリとナスのみ      



  おかずはみんなで 突っついて食べることに 。

  
    平凡にマトウダイの煮つけが 完成。


   いつもより30分早く
   午後6時30分  家族そろって晩御飯。

   大きな魚は みんなで囲むのがBest



   もちろん HAYATOの釣り談義に
   花が咲きました。





  5月6日(日) HAYATOの釣り日記  


   HAYATOのお目当ては船長を務める事!

   

      でっかい釣り船に乗って
     北九十九島の海へ Let’s go 



    好ポイントにつけるためにHAYATOは真剣です。

    GPS魚探の反応をチェックして
    イカリを下ろします。

    イカリ担当はNAKA〇〇さん。
    HAYATOが赤ちゃんの頃から可愛がってくれる
    おじさんで釣りは名人級
            




   午前7時
   凛とした朝の空気に包まれて 
   太陽は雲の中で高く昇っています。
 
   一投目でアジがヒット!



    HAYATOは 釣り歴 3年目
    マイ竿も2本所持しています。
    なんだかすっかり釣り姿が板についてきました。

    6月末には6歳を迎えます。
    来年は小学生。

    鉛が海底に着いた感覚も
    ちゃんと
    感じることが出来るようになりました。

    水深 28m。

    実はHAYATOはおねだりをしています。
    「 電動リールがほしい。」 ・・・と

    
 


    マイ竿 さばきも鮮やかです。
    アンドンカゴの中のマキエサを出すために
    竿をしゃくるのも
    お手の物となりました。
   


  なんだかとっても心が軽く 
  一日がゆっくりと 安心して過ぎていきました。





    

    大好きなNAKA〇〇さんから
    マトウダイを釣ってもらいました。

  


   HAYATOとじぃじとばぁばも
   ぼちぼち・・・   釣れました。
   アジもまだ小さい。

   まだまだ 今からだね
        


   なんと !
   マトウダイの口の中には
   一匹の鯵が・・・・。



       

   
   釣り談義に花が咲いて
   食が進んだ。

 
   しかし
   みいは ご飯を食べようとしなかった。
  
   私の胸は
   いっぺんに萎んでしまった。

   小さなお茶碗に入れたごはんを
   私と 主人と HAYATOの茶碗につぎわけて
   自分のお茶碗は洗って
   食器棚になおしてしまった。
   
   「 かってに せんでよか! 」
   と怒りながら。 

   腫れ物に触る様な空気が流れたが
   HAYATOのお蔭で すぐに 和んだ。

  私たちは マトウダイのマトウダイを探したが
  見つからなかった。


 
        (  さかなのさかな )

   みいが食べた 
   ほんの少しばかりのマトウダイの骨の中にあったのかなぁ。
     
        マトウダイのマトウダイ


   みいは
   塩もみのキュウリをトッピングした卵豆腐 一個と
   家庭菜園の野菜を胡麻ドレッシングで食べ
   魚を少しだけ口に運んだ。

   食事時間を家族に合わせるために
      少量づづ
      少量づづ
   おかずを口に運んだ。


   私は主人を見た。
   主人も私の目を見た。

   私たちはお互いが思っている事が手に取るようにわかった。
   不思議でたまらなかった。

   「 なんで・・・・・? 」

   どう考えてもみいの行動がわからなかった。
   病院では
   私の見つめる中でも
   出された食事を全て食べてしまうのに・・・。

 みいの命の大切さがあんなに身に染みて解ったはずなのに
 私は
 どうして以前と同じなのかと
 不服に感じてしまった。


 夕食後
 みいは 対面キッチンで
 家族に背を向けて
 お菓子や冷蔵庫の中のヤクルト ヨーグルト 
 などを 少しづつ いつまでも食べていた。

翌日の朝食も自分だけ時間をずらした。

出来上がった洗濯物をきちんと干し
少しだけ
家の周りを散歩してなんとなく
私達の食事が終わるのをうかがっていた。


5月12日」(土)
病院に帰った娘は
ゆっくりと時間をかけて夕食を全部食べてしまった。


私は理解できなかった。

何故?

  自宅に帰って食べることが出来ないのなら
  退院させることは不可能に思われた。

何故?


   みい どうして・・・?

   みい どういうこと・・・・?

お母さんは急ぎすぎてるのよね。  きっと。

  一般病棟にもどってから
  10日しか経っていない。

  会話ができるようになってから
  まだ数えるほどしか経っていない。



胆に銘じなくては !!

 急いではいけない。

 焦らず みいのペースに合わせて信じる事。