山鹿温泉 豊前街道の旅
2階の部屋のカーテンを開けると
満開の桜が覗き込んでいた。
雨の日曜日だと思っていた3月最後の日曜日
うっすらと覆っている雲は
雨を運んでくる気配はなかった。
長女家族を誘って出かけてきた
私達家族は
熊本 山鹿温泉の由緒ある温泉旅館で
目を覚ました。
古い温泉宿は
まるで田舎の実家に
里帰りして泊まったかのように
落ち着いてぐっすりと眠ることが出来た。
2階の部屋のすぐ前には
穏やかな菊池川がゆったりと流れ
土手は芽吹いたばかりの若草に覆われ
ゆく春を醸し出していた。
窓の下の川沿いの遊歩道は
散歩をする人たちが後を絶たなかった。
私は
朝食の前にもう一度浴場へと足を運んだ。
そう 広くはないお風呂の
曇ったガラス戸を開けると
かけ流しの温泉が
湯船を溢れ出し
気持ちよく洗い場に流れ出していた。
その清涼感は
古い温泉宿を いっぺんに魅力的に演出していた。
あったかい湯船につかった後
露天風呂の岩場の湯の中に
ゆっくりとつかった。
昨日の
孫達の笑顔が心地良く思い出された。
自宅から3時間かけてやってきた
熊本 三井グリーンランドでは
楽しみにしていたイベント
「仮面ライダーウィザード超魔法伝 」で
悪と戦う仮面ライダーたちを
大きな声で応援し、
広い遊園地の中を
元気に駆け回り瞳を輝かした
三人の男の子たちの笑顔が思い出されて
満足だった。
熊本山鹿温泉で
一夜を明かした翌日の早朝
みいは一人で宿周辺の散歩を楽しんだ。
散歩を終え入浴してきたみいと入れ違いに
私は風呂をあがった。
部屋に戻り窓下を眺めていると
「 ばあば~」と
長女の子供が手をふった。
私よりも早い時間に朝風呂を浴びた長女が
家族で遊歩道をのんびりと散歩していた。
3歳の末っ子は幼いころの次女みいのように
3歳にして
その場の空気をうまくよみ明るく
常にムードメーカーを務めた。
午前8時
部屋に食事が準備された。
3歳の孫は
愉快に楽しく場を盛り上げた。
この日
豊前街道にある芝居小屋
「八千代座」を
見学する予定の私達総勢8名は
豊前街道脇の商店の店開きに合わせて
ゆっくりと
朝食を楽しんだ。
今日は 長女の息子の6歳の誕生日である。
午前9時すぎ
旅館に車を止めたまま
豊前街道散策に出かけた。
肥後・熊本(熊本市)を起点として北上し
植木・山鹿から南関を経て
豊前・小倉(北九州市)に至る道 「豊前街道」は
参勤交代道として栄え
大名行列の宿場町であった湯のまち山鹿は
嘉永6年(1853)の8月に鹿児島を出立した
天璋院篤姫様が
その月末に山鹿の御茶屋に宿泊したなど
宿場町として栄えてきた。
娘たちは
昔の商家を利用した飲食店や土産物屋を
出たり 入ったり
可愛い民芸品を手にとったり
昔ながらの手作りおせんべいを購入したり
あし湯で休憩をしながら一帯をゆっくりと散策した。
「さくら湯」の前の飲水場で
地元の方が 温泉水で 顔を洗い歯磨きをしていた。
進められて 温泉水をのんでみた。
なめらかであまり癖のない飲水だが
匂いからゆで卵の殻の味(?)がして
チビッコ達の評判は「 まず~~~~い! 」
細やかな 楽しい時間が過ぎていった。
どの時代にも
親孝行は 美談であり賞賛を受け
後世までも語り継がれるが
きっと 本人は知ることもなく
草葉の陰だろうな・・・。
あし湯で一休み。
芽吹いた若葉が
そよぐ柔らかい風にとても似合っていた。
時間を気にすることもなく
ぶらぶらと 散策を続けた。
目指すは
「 八千代座 」
今からさかのぼること百年余り 明治43年に
山鹿に誕生した
芝居小屋「八千代座」 見学が
今日の散策のメイン会場だったが
残念なことに
公演中のため 入館できなかった。
大正 昭和にかけて
大衆を魅了した芝居小屋は
昭和に入り娯楽が多様化し
時の流れの中に取り残され朽ちかけたが
華やかだった頃を知るお年寄りの手で
復興運動が行われ
昭和63年に国指定重要文化財に指定され
更に
平成13年5月に5年がかりの修復が完了し
大正時代の姿が復元されたらしい。
毎年5月 6月には
沢山の修学旅行の子供たちが
芝居小屋「八千代座」を訪れ
芝居小屋の様々な仕掛けを体験していくとか・・。
八千代座の小道具などを収めた
資料館にはいり 様々な説明を受けた。
見学できなかったことが心残りだったが
DVDにより 内部を学び
八千代座を後にした。
豊前街道脇の
沢山の古い民芸店の素朴な土産物に
娘たちは夢中になった。
チビッコ達も
元気に散策を楽しんでいた。
私は 主人と共に
帰宅後の酒の肴に
馬刺しを買い求めた。
100g 750円が特上肉であったが
その下のランクの550円の新鮮な馬刺しを買った。
遊園地に付き合い
娘たちの買い物に足を止められた
主人への労いである。
実は
一泊二日の旅行の中で
この馬刺しの絶品さが
一番の収穫であったように思われる。
もう一度
このお店に馬刺しを買い求めに出かけたくなる程
美味しい肉だった。
次回は
孫たちに内緒で
主人と二人っきりで出かけたいのが・・・ 本音。
3月31日
長女の子供
SOUTAが6歳の誕生日を迎えた。
SOUTAへの
お誕生プレゼントの旅行は
家族に ひとつの節目をつくった。
4月から
入園 入学 新期という
わくわくする新しい出来事が
家族全員を待っている。