プチ旅行の思い出

パールじゅんこ

2013年04月28日 02:55

そういえば
   まだまだ 春が遠い頃
   
私達は
   無謀な計画を立てた。



九州の西の端っこから
 日帰りで
四国の西の端っこまで
 出かけることにした。

もちろん仕事で!

船舶の売買をしている私の会社では
真珠養殖の盛んな愛媛から
中古船を仕入れることが多々ある。

どうしても
中古船の現物を早急に見る必要のある社長は
「みんなで行ってみるか? 」 と
持ち掛けた。

私は
この無謀な計画に家族を巻き込んだ。

家族同然の付き合いのある社長の
考案に
主人は快く引き受けた。

   午前4時10分発の
   大分県 佐伯から
   高知県宿毛行きの
   宿毛フェリーに乗るために
   2月1日 午後10時過ぎに
   自宅を出発した。

洋服のまま眠っているHAYATOを
毛布で包み
車に乗り込んだ。

早めの夕食を済ませ
仮眠をとった主人は
真冬の星空の下
静かに車を出発させた。


  ひたすら
  高速道路を飛ばし
  主人は九州を横断した。


  助手席の社長と
  運転席の主人の会話に
  私も
  ひたすら
  仲間に加わった。


いつもの 無謀な計画に
主人は
快くのってくる。
不思議なくらい 快く・・・・。


午前4時10分の出発を目前に
私達は
大分県佐伯港で
宿毛フェリーへの乗船を待った。

午前7時20分に
四国 高知県宿毛に到着するフェリーは
999トンの小さなフェリーだった。

乗船後
HAYATOを悪夢が襲いかかるなんて
誰も想像していなかった。



    出港して間もなく
    船は左右前後に激しい揺れが始まった。

    運転で疲れた主人は
    ぐっすりと
    眠り込んだ。

    後部座席で
    のんびりと眠っていたみいも
    乗客の少ない2等客室で長々と眠った。


    眠ろうとしたHAYATOが
    突如訴えた。
    「 ばあば  もどしそう・・。」

    私は
    立っているのも大変なほど揺れる船室を
    HAYATOと洗面所へ急いだ。

    横のマス席で眠っている社長も
    酔い止め薬を求めた。


    激しい揺れで
    完全に酔ったHAYATOは
   
    客室にもどってももどした。

    左右前後
    999トンの小さなフェリーは揺れ続けた。


    間もなく
    眠りについたHAYATOは
    元気にフェリーを降りた。
    
    






   あれから
   HAYATOと言う。

  「 ばあば オレが一番乗りたくない乗り物・・・
    わかる? 

    宿毛フェリー ! 」

    小さな眉間にしわを寄せて言う。

  「 オイもHAYATOと一緒だ。
    二度と宿毛フェリーには乗らん !!」

  と社長が同調する。


天候の悪さをそっちのけで
宿毛フェリーを悪者にしてしまった。


あれほどの悪天候の中
安全に運んでくれた乗組員さんの苦労を知らず
宿毛フェリーを
悪者にしてしまったのは
申し訳ない・・・。


  高知県宿毛市で
  商談の進みかけていた
  真珠養殖用の中古船を見た後
  のんびり
  高知県を北上し 愛媛県へとはいった。
  

  四国は
  暖かかった。
  
  

  HAYATOは元気いっぱい同行した。

  主人も疲れを見せることなく
  ハンドルを握った。

  みいは
  楽しそうに過ごした。

  昨日から眠っていない私は
 
  密かに高価なドリンクを飲んだ。
  社長にも勧めた。



帰りのフェリーは
愛媛県から大分県を結ぶ最短距離の
国道九四フェリーを利用することにした。

 愛媛県佐田岬半島から
 大分県佐賀関半島を
 
 1時間10分で結び
 一日16便とダイヤの多さで
 非常に便利な
 国道九四フェリーを選んだ。

のんびりと
愛媛県八幡浜から佐田港までの
ドライブを楽しんだ。

佐田岬半島の頂上をはしる国道197号線は
絶景ポイントの道の駅も充実していて
飽きることが無かった。 



佐田岬半島の稜線をはしる
メロディラインのドライブは
天気に恵まれて心地良った。



  
  HAYATOは
  実の祖父のように
  社長に甘え
  社長は実の孫のように
  HAYATOと過ごすことを楽しんだ。



      道の駅 きらら館  


   きらら館の中の
   小さな水族館は
   HAYATOの知っている魚ばかりが
   元気に泳いでいて
   エサやりを楽しんだ。



    小さなエサやり穴から
    手をいれて
    直にエサを与える。




    水があふれ出てこないのが
    すごく 不思議。








 



   


    ふれあい水槽で
    HAYATOは存分楽しんだ。

    みいも
    常にHAYATOに寄り添った。



   青い海を眺めながら
   国道九四フェリー乗り場へと
   やってきた。


  
  


   新しいフェリー「 ニュー豊予 」が近づき
   HAYATOの心が躍っているのが
   見えたような気がした。
   






   穏やかになった海は
   揺れも少なく
   HAYATOは酔うこともなく
   新しい船内を冒険して回った。

   70分の
   豊予海峡の船旅は
   あっという間に終わった。
   

   






    
 春まで
   まだまだ 遠い日の出来事を

 あっという間に終わった一日のことを
   HAYATOは覚えているだろうか・・・





    気晴らしに・・・
      
    気分転換に・・・
    プチ旅行に誘い出してくれた社長は
    実際に中古船の物件をみて
    この商談をまとめるのをやめた。



    


     季節は 流れるように
     過ぎ去っていった。


     平穏であることが当たり前のように
     やさしい時間が
     流れていく・・・。