中秋の名月
午後7時
事務所の電気を消して外に出た。
夕闇の押し寄せてきた暗い駐車場で車を発進させた。
外套もない真っ暗な海沿いの町道を
自宅に向かって車を走らせた。
大きな曲がり角を超えると
闇の中に街の明かりがとびこんできた。
職場から4km離れた自宅の上の山から
ぽっかりと
大きなお月様が顔を出していた。
大きなお月様に見とれながら車を進ませた。
助手席においたスマホが鳴った。
「 ばあば 今どこ? 」
「 商店街を通っているからね
後 4分ほどで帰る着くよ。 」
「 まって! きらんでね。
お話しながら 帰ってきて! 」
暗闇の中 私は違反しているのがきっと
見えていないはず・・・!
「 今 どこ? 」
「 スパーの横の川よ。 」
「 今 どこ? 」
「 川沿いの道よ。」
「 今 どこ? 」
「 整骨院の横よ。 」
「 今 どこ? 」
「 さつきくんのお家の横よ。」
「 今 どこ? 」
「 キウイの横よ・・・。
と~~~ちゃ~~~く。!」
愛犬レオンが庭から吠えた。
玄関のドアが開いてHAYATOが
飛び出してきた。
私の帰りにちょうど合うように
みいによって晩御飯が整えられていた。
主人がビールとコップを二つ持って座った。
とても ありがたかった。
私は
早朝出社し 8時までの間と
仕事が定時の5時に終わった後夕食時間まで
残業をして 一年分の伝票を入力している。
弥生会計7のデーターが一年分突如消えてしまった。
愚痴は言っておれない。
決算報告の期限は延びてはくれない!!
せっせ せっせと・・・ 入力。
くそ~~~~。
なんで今? 今消えるの?
う~~~~ん 自分が蒔いた種だ。
まったく
私って・・・・。
バカとしか言いようがない。
「転ばぬ先の杖」とは
私に向けなくてはいけない言葉だ!
みいがおかずを運びながら言った。
「 お母さん 今日は中秋の名月だよ。 」
あぁ 道理で!
あんなにお月様が綺麗だったんだ。
よし!
来年こそお団子とススキを庭にかざって
お月見をしよう。
来年こそ
ゆったりと 秋を迎えよう !
9月17日 木曜日