2014年07月21日 22:53
一冊の絵本を読み聞かせると
孫くんは
心地良い眠りに落ちていった。
三人の娘たちの幼少の頃
読み聞かせてきた絵本が
2階の屋根裏部屋から下されて
孫くんの枕元に積み重ねられている。
さんびきのやぎ
ももたろう
いつつぶのえんどうまめ
ブレーメンのおんがくたい
etc・・
20数年前に娘に読んだ本の中には
忘れられない大好きな絵本が何話もある。
その中でも
雪の降り積もる夜に
月光が射すときっとこんな色になるんでは・・と
雪国を知らない私は
勝手に空想を膨らませた昔ばなしの
「たぬきのおんがえし」 は
私の記憶の中で
20数年もどっしりと胡坐を組んでいた。
やまおくのふるでらに
おしょうがひとりですんでいた。
たいへんさむいゆきのばん
あまどをたたくものがある。
「こんばんは おしょうさま おしょうさま」
とをあけてみて おどろいた。
ゆきをかぶって がたがたと
としよりたぬきがふるえていた。
「なかへおはいり」
おしょうはやさしくてらにいれ
いろりのそばにすわらせた。
このよるから
としよりたぬきはまいばん いろりにやってきた。
いつしか 10ねんがすぎさったあるよる
「わたしになにかごおんがえしをさせてください。」と
たぬきはもうしでた。
そして
よくあさ たびにでていった。
3ねんすぎたおおみそか あまどをたたくおと。
「おしょうさま おしょうさま 」
おしょうはいろりをとびこえ
どまへとびおり あまどをあけると
ゆきにふるえたやせだぬきが かがみこんでいた。
「おしょうさま
ながいこと ごぶさたして もうしわけありません。
わたしは さどがしまへ わたっていました。」
さどというのは
やまをこえ たにをこえ うみをわたったしまである。
さどがしまには きんがでてくるやまがある。
「わたしは さどにわたり
きんをほるひとがすてた わらじをひろいあつめ
それについたきんを あつめました。」
おしょうは
「おまえにつらいおもいをさせてしまったね。
かんべんしておくれ ありがとう ありがとう。」と
たぬきをおがんだ。
たぬきは
くろうがみのり
おしょうさまに おんがえしができたうれしさに
わっとばかり なきだした。
おしょうは にじりより
こおりのように ひえきったとしよりだぬきを
しっかりと だきしめた。
「もう そろそろ 108のじょやのかねをつくじこくじゃ。」
たぬきは
としをとって つかれはて まもなくしぬのをしっていた。
「おしょうさま どうか わたしにも かねをつかせてください。」
やがて
ふたりのつきならす かねのひびきが
やまやまに
ごーん ごーんと こだまして
しょうがつをまつ やまざとに
とおく ひびいて いったとさ。
私が大好きなこの お話は
孫くんには ヒットしなかった。
孫くんは 物悲しいお話しや歌は好きではない。
5月末に読んだこのお話の
リクエストはほとんどないままである。
しかし
何十年ぶりかに開いた一冊の絵本は
私の心を揺さぶった。
佐渡島かぁ・・・。
行ってみたいなぁ。
私は 又 突拍子もないことを考え出したのである。
長い長い間
私の心に居座っていたこのお話の舞台に
行ってみたい。
私は インターネットで ある格安旅行を見つけた。
孫くんは夏休みである。
主人は夏季休暇を3日間取れる。
私は早朝から夕方遅くまで
休日も取らずがむしゃらに働いている。
平日に3日間だけお休みをもらうことにした。
佐渡島への旅を計画したのは言うまでもない。
ほとんど休みをとれない私の心は浮き立った。
「 楽天トラベル 」 ANA楽パック 航空券+宿泊
福岡空港発→新潟空港 佐渡2泊の旅
ペンションを利用する一番安いプランを選び
申し込んだ。
福岡空港から 新潟空港までの座席も確保した。
孫くんが喜ぶように
進行方向に向かって右側の窓の下が見える席がとれた。
帰りはもちろん進行方向に向かって左側を。
佐渡島へ渡るジェットホイルの予約も
佐渡島のレンタカーの予約も
滞りなく済ませた。
私は今
がむしゃらに 働いている。
早朝4時起床~ 午後7時前帰宅。
旅に出かけられることを楽しみに
がむしゃらに働いている。
私は 娘たちに言う。
「 お母さんたちが あの世へおさらばしても
貯金はあんまりないからね。
どこさがしてもへそくりはないよ。」
みんな 口をそろえて言う。
「 わかりきってるよ。 」
私の命は 後 どれくらい?
背中を意識しないと
背中がなんだかくしゃんとし始めた。
やばい! やばい!
好きなことを いつまで続けられるかな?