オジギソウ
種苗店を営み
自ら農場で懸命に働く友人のAKEMIさんから
オジギソウの小さな苗を貰った。
玄関前の植木鉢に植えて1か月くらい経った。
すくすくと育ったオジギソウは
触ると葉先からす~~~と閉じて眠ってしまうので
玄関を通る度に
家族はオジギソウを撫でた。
オジギソウに見送られ
午前7時10分に孫くんは学校に行き
私達夫婦はそろって午前8時に職場へと向かう。
娘みいは 家事全般を熟している。
平凡な日々続いている。
台風11号がうろうろと四国沖を北上している朝
玄関を出た私は
思いがけないオジギソウの花の開花に
驚かせられた。
強い風と雨が玄関先に吹き荒れる中で
可愛いピンクの花を咲かせたオジギソウに一瞬で心奪われた。
とっても可愛いその花から
少女の髪飾りを思い浮かべた。
親指の爪くらいの大きさのピンクの丸い花は
そっくりそのまま
ゴムを付けて少女の髪を結えるように思えた。
オジギソウの花とそっくりの
ゴムにつけられた髪飾りをよく見かけてきたからだ。
心の中に
なにかあったかい嬉しい気分が充満した。
オジギソウの花を私は初めて見たのである。
まさか
このオジギソウにこんな花が咲くなんて・・。
想像もしていなかっただけに
小さなふかふかとした柔らかい花でないような花を見ただけで
心がほのぼのとした気分で包まれたのである。
あったかい気分を充満させ
主人とともに家を出た。
その日の午後
台風11号は高知県に上陸し
私が生まれ育った町 徳島県海陽町(旧 海南町)を通過して
翌朝 高松港に上陸していた。
テレビで放映される海陽町や高松の台風情報の映像から
目を離せなかった。
海陽町には私の二人の兄が暮らしている。
半年前に脳こうそくで倒れた三つ上の兄は自宅で
リハビリに専念している。
鹿児島県霧島リハビリテーションでの入院治療を望んでいた
私達兄弟姉妹だったが
兄の症状は「対象外」とされたのである。
言語 足の麻痺 手の麻痺
兄は手の麻痺が思うように回復していかないが
言語と足はめきめきと回復しているのである。
オジギソウの眠る朝
ニュースは夕べ台風11号が通過した海陽町の様子が映し出された。
台風の通過した海陽町に住む兄に電話を入れた。
兄たち家族は
元気に暮らしている。
今日も元気で 働かなければ!
オジギソウに見送られて
元気に登校していった孫君は明日から夏休み。