摂食障害からの脱皮 魔法の言葉
「ふっくらと綺麗になったぁ。 みい
ほれぼれするぞ!」
70歳の私の職場のボスは35歳のみいに魔法をかける。
私の職場で
土曜日 日曜日とアルバイトをしているみいに
ボスは顔を合わせるたびに魔法をかけるのである。
HAYATOは母親のみいを妹みたいに褒める。
みいの笑顔がますますふくらんでいく。
こんな所に 長い間摂食障害で悩まされてきたみいの
回復のための解答式が潜んでいたなんて
思いもしなかった。
私はもっと もっと
みいを認め みいを頼り みいを信頼してあげないといけない。
こんな簡単なことが私には難しかった。
そばかすだらけのみいが
うっすらとファンデーションを塗り
うっすらと口紅を塗る。
だぶだぶだったジーパンのお尻が丸みを帯びて
私と違って足の長いみいは恰好が良い!
そして 朗らかなみいが復活しようとしている。
今年もあとわずかとなってしまった。
気持ちに余裕がなく
心から潤いが消えてしまったかのような年だった。
陽ざしの優しさも
雨音の響きも
風の語り掛けにも
季節を謳歌する草木の放つ匂いですら
心の奥まで届いてこなかったような一年であった。
私の心は どうしたんだろう・・・か。
あんなに色があった毎日の世界が
なんだか失せてしまったような日々であったように思える。
満天の輝く星空を仰ぎ
時の流れにのって回る地球を全身で受け止め
壮大な宇宙の神秘さに胸躍らせても良いはずなのに
私の感動する心が 色あせてしまった。
私はあの感受性を取り戻すことができるのであろうか・・
明日への不安が
老いと向き合っていかなければならない不安が
胸に広がって行くのである。