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2018年06月15日

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


  若葉が萌え 
     花が咲き 
      鳥が舞い歌う
目に映るすべてのものが
清らかで美しiい晴明と呼ぶ季節は
飛ぶように過ぎ去っていた。
 
光陰矢の如し
平凡だがその言葉しか浮かんでこなかった。

綺麗な季節の中で
私は一つの節目を迎えていた。

  秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


  ゴールデンウイークの少し前のことだった。

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

  空はどこまでも清々しく澄み渡り
  見渡すかぎりの山肌は
  柔らかく優しい緑に覆われていた。

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

  心の隅々まで浄化してくれるような緑に囲まれて
  時はゆっくりと流れて行った。

  山々に鶯のさえずりがこだましていた。

  私は
  生まれ故郷である四国の山の中の小さな村にいた。

 秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

  鶯が声を潜めた谷間で
  満開の藤の蜜を求めて飛び交う
  クマバチの羽根の音だけが響き渡っていた。

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


  亡き兄の忌明け供養の帰り道
  少しだけ 道草をくった。

  太平洋に面した実家のある海陽町を後にして
  阿南市 小松島市 徳島市を経由し
  吉野川にそって徳島自動車道を通り
  三好市で宿をとった。
  自宅への帰り道に少しだけ寄り道をした。
秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

 秘境と名高い  
 「 祖谷(いや)のかずら橋 」は
 新緑の谷間でひっそりと力強く佇んでいた。
秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


 雄大な大自然の中で
 爽快な陽ざしを浴びて
 山の木々が清らかに輝いていた。

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

 神さまに・・・
   仏さまに・・・
     亡き母に・・・

 いいえ 
 もっと違う何者かの優しい両手で抱きかかえられて
 その柔らかい手のひらのなかで
 そっと揺すられているような
 不思議な安らかな気分が心を満たした。

 小さな小さな自分という生命が
 宇宙の中に溶け込み
 三河大地と一体になったように感じられた。
 
 ため息の出るほど
 素晴らしい景色が広がっていた。
秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

 
 渓谷の中で
 断崖にたつ小便小僧とともに
 200m下の祖谷川(いやがわ)を覗き込み
 のらりくらりと
 狭い山道を進み帰路についた。
 
 
秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


   秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)    

 秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島) 


   秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)    秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

 道幅の狭い旧道を主人は巧みにハンドルをさばき
 黙って 多くの時間を
 私のわがままに付き合ってくれた。
秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


   あっちで止まり
     こっちで止まり

  谷を覗き込んだり・・
    山を見上げたり・・・

  飽きることは無かった。


  私は 緑の空気に包まれて
  心底 満足していた。

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

 「 気が済んだか? 」

  主人が遠慮がちに言った。


 愛媛県八幡浜港17時25分発の
 宇和島運輸フェリーまでの時間は
 たっぷりあった。

 大分県別府港に20時15分着のフェリーで
 九州の西の端の自宅に変える予定であった。

 「 気が済んだよ! 満足した。
   もう 二度と祖谷に来ることはないだろうね。
   こんなに綺麗とは思わなかったね。
   気が済んだヨ。 帰ろうか。 」

 私は幸せだった。

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)

  父もいない
     母もいない
        二人の兄もいない
  この世界で
  我儘な私は主人に守られて生きている。


  亡き兄を見舞ったときに
  70歳を過ぎた兄が
  60歳を過ぎた妹である私のことを
  主人に頼んだのである。

  「 TOSIO君  JUNKOを頼んどくけんナ・・。
    こいつは 我が儘で
    一旦言いだしたら 他人の言うことは
    絶対聞かん奴だから。 」

  今年2月病床の兄が
  主人に言った最後の言葉である。


  私は自他ともに認めるわがまま者である。。
  いくつになっても。

  兄の
  優しさを含んだその言葉は 
  60歳をとっくに過ぎた私の心を
  心地よくくすぐるのである。

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


  父の声が聞こえたような気がした。
    「 JUNKOはわがままだから・・・」

  母の声が聞こえたような気がした。
    「 JUNKOはわがままだから・・。」

  二人の兄の声が聞こえたように思った。
   「 JUNKOは言いだしたら 後に引かん!」

  私は 
  おとなしくて 誰の言うことも聞く素直な姉と共に
  この綺麗な世界で生きていくのである。



  定命の尽きるまで・・・。

秘境の里 祖谷のかずら橋と祖谷川の小便小僧 (徳島)


  3月末 主人は永年勤めた職場を退いた。
  仕事を休むことができない私は
  兄の供養の為 二日間だけ休みをとり
  主人と二人で四国 徳島へと里帰りをしたのである。

  里帰りのその二日間は
  私達夫婦のささやかな旅行だった。

  その節目を
  兄は私に与えてくれたような気がした。



Posted by パールじゅんこ at 22:12│Comments(0)
 
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えっちら おっちらと進む人生。
苦しいことも乗り越えたはず。
悲しいことも通り過ぎたはず。
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100%信じている私こと じゅんこです。


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