浮雲

朝日がのぼり
　　　爽やかで清々しい一日が始まった。


　窓の外は
　　　くる～～～と見下ろすかぎり
　　　ねむの木の花が満開だった。

　
　さやさやと広げた枝の上で
　ピンクのドレスをまとった沢山の淑女が
　太陽のスポットライトを浴びて
　素敵な紳士のエスコートを
　待っているかのようだった。
　　　
　
東の山肌にも・・・



庭の東側にも・・・・



南側にも・・・



西側にも・・・



大きく広げた枝の上で
ピンクのねむの木の花が満開だった。





家の周りを流れる
蛍が育つ「不老の元川」の流れに添って
ねむの木が大きく広く枝を広げている。

蛍の乱舞が終わったころ
その大きく広げた枝の上一面に
ピンクの花を咲かせたのであった。

キッチンに立ち
部屋越しに
庭の下に広がるその景色は
まるで花の海を眺めているかのようである。




窓の外に広がるピンクの優しい世界を眺めていると・・・
　　

「星野リゾート」に引けを取らないかも・・。

背後の山を借景とすることで
素晴らしい景色を作り出している
島根県足立美術館の日本庭園にも
消して引けを取らないんじゃないかな・・・・
なんて
恐れ多くも
密かに眺めては自己満足に陥るのである。
　
　



　14年という歳月
　いつも庭には愛犬レオンの姿があったというのに
　今年から
　庭でもうレオンの姿を見ることは出来なかった。　



　　　　


　　　



　　　　


　目の前に広がる森羅万象に
　うっとりと酔いしれているというのに
　時を刻む時計の針は
　否が応でも
　私を現実という世界に引き戻したのである。


　昨日の続きの今日という新しい一日が
　始まったのである。

　今日やらなければならない仕事の段取りが
　脳裏を占領した。

　あたふたと
　出勤準備の時間が迫ってきて
　心の中を満たした
　幸せ気分に終止符をうった。