2020年02月10日
お日さまの匂い
「 ばあば お日様に匂いなんかあるの?」
隣に敷かれた布団の中で
ちょこんと頭だけ出して
HAYATOが太い声でボソッと言った。
立春の日が少し過ぎた日のこと・・
庭の椿は
うっとりと太陽のちょう愛を受けていた。
ずいぶん久しぶりに丸一日
職場に足を運ばなかった。
家の外回りの掃除をする為にとった
休日である。
たくさんやらなければならない事があった。
玄関前の鉢は
ホテイアオイが枯れたままだった。
北側の犬走りは水苔が生えて汚かった。
網戸はほこりが積もっていた。
窓ガラスは汚れでくもったままだった。
サッシ廻りはほこりが溜まりにたまっていた。
おまけに障子が所々破れていた。
腰の重い主人を促して
薄手のジャンバーを着て外に出た。
ぽかぽかとお日様の光が降り注ぎ
なんとも暖かい温もりに包まれた。
良いお天気だった。
主人は家庭用の高圧洗浄機で
網戸を洗い
玄関前のタイルや犬走を洗った。
私もバケツと雑巾をもって
せっせと働いた。
二階のベランダに所狭しと干された布団は
ふっくらと膨らみ
物干しざおでは洗濯したボアシーツが
暖かい風に揺られ心地よく乾いていた。
背中に
ぽかぽかとお日様の光が降り注いだ。
お日様の光って
こんなにも暖かかったのだ・・と
久々にほんわかと幸せ気分に包まれた。
主人と交わす言葉はなかったが
二人で黙々と働いた。
夕方
中学から帰ったHAYATOが
玄関に入らずに
鞄を持ったまま
にこにこと庭に回ってきた。
テスト前で部活がないため早目の帰宅だった。
私が夕方家にいることは
非常に珍しいことである。
何も言葉はなかったが
にこにこと私を見つめた。
私はこの2か月でHAYATOから
見下ろされるようになった。
私と主人は
夕方までよく働いた。
みいの準備した夕食を済ませ
床の間の2枚の障子も張り替えた。
午後10時すぎ
HAYATOと布団に入った。
「 HAYATO お布団気持がいいね。
お日様の匂いがするね。」
口数の少なくなったHAYATOに話しかけると・・
隣の布団で
ちょこんと頭を出したHAYATOが
声変わりのした太い声で言った。
「ばあば お日様に匂いなんかあるの?」と。
私は
ほっこりと幸せ気分に包まれた。
HAYATOから
力が抜けていくのが感じ取れた。
HAYATOは
すーーと夢の中に入り込んだ。
身長155cmの私を
中学1年生のHAYATOは
見下ろすようになったのである。
春はそこまでやってきた。
嬉しいです❣️❣️❣️
HAYATO君の成長ぶりも凄いです
これからもブログ楽しみにしています❣️
湧きだしてくる思いを
文字として残したい・・・
私の意志は・・・
弱かった。 ((´∀`))
お付き合い下さいナ。
