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2020年03月30日

不思議な縁

不思議な縁

2月の日曜日
私は佐世保駅の改札口で
ひとみさんを待っていた。

暦は立春を迎えたが
空はどんよりと黒い雲に覆われ
時折小雨が降る
寒い冬の日だった。

改札口の前で
北九十九島の海で育てられた真珠の
小さなピアスをつけた私は
気を抜くと丸くなる背中を意識して
背筋をシャンと伸ばした。

不思議な縁


午前11時
長崎からの特急列車が到着し
沢山の人が改札口に押し寄せてきた。

乗客のひとりひとりを見つめ
今までに一度しか会ったことのない
ひとみさんを待った。

多くの人々が
足早に改札口を出て
四方に散っていったが
ひとみさんは改札口に現れなかった。

人気のなくなった改札口で
私は少し不安になった。
改札口に立った若い長身の駅員さんに
話しかけた。
「改札口はここだけですよね。」と。

滅多に電車に乗ることのない私は
佐世保駅構内に詳しくなかった。


長身の駅員さんの横に立って
ひとみさん姉妹が現れるのを待った。

電車が到着してから15分ほどたった時
二人の女性が肩を並べて
仲良く改札口に向かってやってきた。

一目で
ひとみさん姉妹だとわかった。


ひとみさんのお姉さんは
スムーズに自動改札口を通過した。
ひとみさんは
改札口の手前でチケットを取り出し
自動改札機にチケットを入れたが
ゲートが開かず通過できなかった。
ほんのちょっぴり慌てたひとみさんから
長身の駅員さんが
チケットを受け取ってくれた。

自動改札口で
チケットが受け付けられなかったことが
会話の始まりで
堅苦しい再会の挨拶は
どこかに吹っ飛んでしまっていた。

駅構内を出て
駅前の駐車場に向かった。
初めて佐世保の地を踏む
暖かい沖縄に住むひとみさん姉妹に
強く冷たい北風が吹きつけた。


急きょ休みが取れた私は
沖縄で暮らすひとみさんが
長崎に嫁いだ娘さん宅を訪れていたのを知り
会う約束を交わしたのである。


駅前の駐車場に停めたマイカーに乗りこみ
平戸へと向かった。

「平戸 ヒラメ祭り」が開催されているので
料亭「大徳利(おおとっくり)」に電話をして
午後1時に昼食を予約をしていた。

私が住む田舎町を通り越し
佐世保駅から
約1時間で平戸大橋に着いた。

風光明媚な平戸大橋だが
ゆっくりと景色を眺めるのには
寒すぎた。

 不思議な縁


お天気がよければ
こんなに綺麗な平戸大橋なのに
それを
見せてあげられないことが
とても残念だった。

不思議な縁



「ひらめ祭り」が開催されている平戸の
料亭「大徳利」で
ヒラメ御膳を食べながら
他愛もない話に花を咲かせた。

不思議な縁

不思議な縁

「大徳利(おおとっくり)」を出てから
ザビエル記念教会を見学した。

   

平戸を後にして
私の職場に立ち寄り
再び佐世保駅に到着したのは
午後5時40分頃だった。


午後6時発長崎行きの電車に乗るために
チケットを買い
改札口でひとみさん姉妹を見送った。

今朝対応してくださった
背の高い駅員さんがにこにこと
私達を見守ってくれていた。
私は駅員さんの横に立って
二人が見えなくなるまで見送った。
   

沈丁花がかすかに香る寒い冬の一日が
足早に過ぎて行った。
不思議な縁


   
それから1週間が過ぎ
我が家の周りは菜の花が満開となり
優しい風に揺れた。
野辺ではタンポポが群生し
 道端も
   空き地も
    河原も・・
優しい黄色に染まった。

不思議な縁

   不思議な縁 
 
 夜が明けるたびに
 春が満ち溢れていった。


不思議な縁


 私達家族は
 平凡な朝を迎え
 平凡な一日を過ごし
 平凡な夜を送り
 平凡という幸せな時間に包まれていた。

 娘の摂食障害という病気と
 戦った日々は
 すっかり過去の笑い話となった。

 私は今から9年ほど前
 摂食障害という病気の娘を抱えていた。

 そこには
 日増しに死と直面していく娘と
 どうすることも出来ない無能な母親の私がいた。
 無能な自分を見つめながら
 辛く 苦しく 悩み・・・ 
 明日を見いだせなかった日々を
 ブログという世界で
 心の内をさらけ出していたのである。

 潰れてしまいそうな私の心を
 遠い沖縄の空の下から
 メールという手段を使って
 私の心に寄り添ってくれたひとみさん。

 私の弱い心は
 ひとみさんからのメールに支えられ
 ひとみさんからの言葉に導かれ
 深い 深い 谷底から
 這い上がってくることができたのである。

 不思議な縁

 

 命を落としてしまいそうな娘を抱え
 仏さまに祈り
 神さまにすがりながら
 私は娘を失う恐怖と闘っていた。

 そんな私に
 神さまは そっと 
 ひとみさんを添わせてくれたのである。

不思議な縁




 おかげさまで・・・
 流れる歳月は
 娘を心身ともに快復させ
 私達家族に平凡な営みを
 与えてくれたのであった。

不思議な縁

 沖縄で育ったひとみさんの娘さんが
 結婚し長崎で暮らし始めたため
 ひとみさんとの距離が近くなったのである。

 私という人間の
 人生のシナリオを書き下ろしている神様の
 ウインクする姿が目に浮かぶようである。
 
 



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えっちら おっちらと進む人生。
苦しいことも乗り越えたはず。
悲しいことも通り過ぎたはず。
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100%信じている私こと じゅんこです。


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