2020年05月23日
解放された時間の中で
私は20数年ぶりに
5月の日曜日をゆっくりと過ごしている。
コロナウイルス感染予防で
職場の遊漁船業をストップさせた為
ゆとりのある時間が手に入ったのである。
一か月前
釣りのお客さまに
貸し船を提供する職場で働く私は
気が気でなかった。
もし私が感染して
この小さな田舎町で
私が感染源となってしまったら・・・と
考えただけでも怖かった。
4月中旬
予約を頂いているお客様全てに
断わりの電話連絡を入れ
我が社の遊漁船部門は休業とした。
私は
20数年ぶりに
5月の日曜日が休めた。
雨の日曜日
私はゆったりと自宅で過ごした。
雨は優しく庭に降り注いだ。
私は観たい映画があった。
知り合いから教えて頂いていた
2010年のアメリカ映画で
「コンテイジョン」という
ウイルス感染の物語である。
コロナウイルス感染で
世界中が恐怖に陥っている今年の現状は
この映画を真似しているように思えて
不思議だった。
私は
長い年月
4月から12月までを釣りに来て頂くお客様に
心を通わせて過ごしてきた。
職場に足を運ばなくていい日曜日は
心を軽くしてくれた。
私は常に
職場からの転送に切り替えたスマホを
片時も離さない日々を送っていた。
予約を頂いたお客様のことが
頭から・・
心から・・
離れない日々を送っていた。
コロナウイルス感染で
釣りの全てのお客さまを断わっている今・・・
私は17時の就業時間を迎えると
スマホのスイッチを消して
職場の机の上の充電器に接続し
スマホをおいて会社を離れた。
月曜日から土曜日までの
8時から17時までは
船舶販売・修理や
製造販売をしている育苗箱の出荷で
事務処理に追われていた。
そして
退社時間を迎えると
さっさと会社を離れた。
さっさと・・・・
永遠の別れとなった弟を送ってから
一年の月日が流れた。
主人は空いている時間のほとんどを
弟の残したログハウスの
手入れに当てていた。
退職をし自由な時間を手に入れた主人は
自ら建機を使い建物の周りを開墾していった。
原野だった家の周りは
オリーブが植えられ
サツキが加わり
我が家の紫陽花を移植し
少しずつ庭が整えられていった。
私も就業後
義弟の残したログハウスに立ち寄り
主人の働きに労いの声をかけ
一緒に自宅へと変える日々が多くなった。
ため息のでるような
綺麗な一日の締めくくりを目の辺りのすると
愛犬ジョンと過ごした義弟の日常が
どれだけ平和で満たされていたかを
感じ取ることができた。
義弟は
主人や私の心の中に
いつでも寄り添っていてくれると思えた。
ただ会えないだけで
義弟の存在は
脈々と生き続けているのである。
ひと時も
仕事から離れることができなかった私の脳裏は
今
仕事から解放され穏やかだった。
「仕事ばっかりしていると
たった今 人生終わってしまうぞ!」
主人から
いつも言われていた言葉をかみしめて
流れて行く時間の上で
穏やかな自分がいることに
幸せを感じているのである。