2024年08月12日
はやと 念願の一人旅 タイ4泊5日
令和6年8月11日
午前11時
仕事中の私に
はやとからのラインが届いた。
福岡空港から
タイへと一人旅に出発する
はやとからのラインだった。
午前11時10分
「今から 搭乗開始」


はやとは
令和6年6月末に
18歳の誕生日を迎えた。
18歳未満では海外で
未成年が一人での宿泊が不可能という
壁があったため
今年の正月 高校2年生のはやとは
一人旅を望んだが
シンガポールに一人では行けなかった為
母親であるみいを説得してでかけた。
団体行動が嫌いなみいとは
最小限の摂食しかせず
一人旅も同然のシンガポールで
二人は
それぞれに楽しんできた。
はやとは
18歳を迎えるのを指折り楽しみにして
学校以外の時間を
すべて私の職場に出向いて
業務を手伝ってくれていた。

船舶の修理業の一部で
今
養殖業での
ロープを巻き上げる機械の開発にも
取り組んでいるので
工業系出身の主人が
社長の考案の元 商品を図面化させ
溶接を習ったはやとが
溶接を担って製品を誕生させ
船への取り付けも行った。

改良を重ねてきた製品である。
今回
はやとがとりつけたこのローラーは
作業現場でスムーズな働きが出来たら
社内オリジナル製品として
量産に踏み切る予定である。
超零細企業のわが社では
様々な修理の仕事に
追いまくられる日々が続いた。
インドア派なのに汗だくになって
日焼けを悩みながら
常にはやとに寄り添う
主人の姿があるのは言うまでもない。
船に装備されている機械の脱着のための
クレーンの操作。
船解体のためのパワーショベルの操作
船を船台から上げ下げするための
スイッチの操作。
などなどの雑用が多々。
若いころ取得した建設機械の免許が
年老いた今になって
こんな形で役に立つとは
主人も想像もつかなかったことだろう。
公務員として務めて退職した主人が
70歳前になって
汗だくになり 汚れながら
わが社の社員でもないのに
ボランテイアで
はやとを支えている。
クレーンやパワーショベルを扱う
主人を見て
常にはやとは口にする。
「じいじ
楽しそうに頑張ってるね 」と。

高校3年生のはやとは
通学日以外は
当たり前のように
故障した船の機関室に入り
エンジンを修理し
早朝より貸し船のお客様の出港を見守り
旅行の日を指折り数えて
過ごしてきたのである。
8歳で取得したパスポートが
2回目の更新時期を迎えていたので
6月28日誕生日をまって
18歳になったはやとは
パスポートを10年に更新した。
さらに
本人名義のクレジットカードを
作ることができた。
これは
一人旅を計画立てたはやとにとって
大きなプラス面となった。
傷害保険の加入
現地でのオプショナルツアーの申し込み
などなど・・・・
8月11日から15日
タイへの一人旅
学業と
私の仕事の手伝いに
真面目に向き合ってきたはやとは
この旅行を
一人で計画を立てた。
私ははやとの計画の内容を
把握することはなかった。
私がはやとにアドバイスしたのは
「少しのお薬を スーツケースじゃなくて
自分のバックに入れて持ち歩きなさいよ」
と
「カードは使えないところが多いので
一日分のお金を財布に入れて
残りは肌身につけて持ち歩きなさい」
の2点だけだった。
服の下に装着してマジックテープで止める
薄べったい紙幣入れを渡した。
「 黄ばんでるね 」と言いながら
素直に受け取った。
8月11日早朝
私はみいに代わって
はやとと主人の朝ご飯を作り
4時40分
二人を起こした。
仕事のため
私は5時に家を出なければならなかった。
はやとは
午前6時 家を出発して
主人からJR佐世保駅まで送ってもらった。
自宅から佐世保駅まで
自家用車で約30~40分かかる。
佐世保駅から7時発の電車に乗り
博多へ向かい
国際空港に移動し
11時30分のタイへの
直行便に乗るのであった。
主人と朝ご飯を食べるはやとに
「お土産話 いっぱい持って帰ってね」
と声をかけて出勤した。
私は
はやとがどんな服装で
どんな荷作りをしたのかも
知らなかった。
10年前から
一緒に海外旅行に出かけてきたはやとは
我が家のやり方の全てが身についていたので
何の心配もなかった。
コインランドリーのあるホテルを選び
洗濯もその都度済ませてくることも
しっかり身についていた。
私は
なんの心配もなかった。
が
出発数日前
お盆前なので家族でお墓参りに行き
亡き義父や義母
そして主人の弟の眠る墓に向かって
はやとの横で声に出して手を合わせた。
「 はやとが一人で旅行に行きます。
見守ってくださいね 」と。
11日の朝
朝ご飯の食卓に向かうはやとに向かって
「 お盆だからね
ご仏壇に手を合わせてから
出かけなさいね。」
一緒に食卓に向かっている主人にも頼んで
私が先に家を出たのである。
「おとうさん はやとにお参りさせてね」と。
午前11時10分
ラインに写真が届いた。
「 今から 搭乗開始 」

日本時間 5時31分
タイ時間 約3時30分
「 入国と 荷物受け取り完了
入国もあっさりおわり 」
一人でのチェックインも
お得意の英語で
難なく通過したはずである。
送られてきたラインには
一人なのに
ツインの広い部屋が映っていた。

18歳の一人旅なので
路頭に迷わないように
飛行機のチケットと
信用のおけるホテル予約だけは
はやと自ら旅行会社の窓口に出向き
手配をしてもらっていた。
日本時間 午後8時40分
タイ時間 約6時40分
届いたラインには
食事に出かけたレストランの窓からの
綺麗なタイの街が映っていた。
時差が2時間あるので
タイは6時40分頃日の入りを迎えていた。

どんなレストランで
どのようにして料理を頼んだのかな・・
はやとのコメントが添えられていた。
「フードコートやけん
軽めに食べて二軒目に行く」

日本時間 午後9時16分
タイ時間 午後7時10分過ぎ
「 食後のデザート マンゴー 」

68歳 疲れ果てた私は午後10時
はやとの行動のラインにはついていけなかった。
「 おやすみ 」 コールを入れた。
仕事を終えた7時30分
綺麗な夕焼けが空に広がっていた。

年中無休の職場のため
お盆とお正月だけは
しっかりと長く休業にしている。
今年は
11日から16日まで休業にしているが
私だけは
事務処理を片付けるため
相変わらず仕事に
追われる羽目になっている。
はやとは
タイ旅行から帰り
2学期を迎えた日
わが社の代表取締役に就任するのである。
沢山の方が
「自分の周りでは
高校に行きながらの代表取締役は
前代未聞」
という言葉を添えながら
諸手続きが進められている。
はやとが
このチャンスを自分のものにして
大きく生かして
人生を歩んでいきますように。
商売の大変さは
身に染みてわかっている私なので
決していいことばかりが続かないだろうが
悪いことも続かないはずである
と 若いはやとに心配が尽きない。
ただ
今日この時は
まだ少年のはやとが
平穏で夢に満ちて幸せでありますように。

Posted by パールじゅんこ at 05:58│Comments(0)
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