浮雲

過ぎ去った愛しい日々がある。

それは
冬の日の暖かい陽だまりのような・・・。

　
山際のくぼみに蓆（むしろ）をしいて、
何をするでもなく、ゆったりしている祖母のそばで
過ごした幼い日々。

なぜか
いつも心に灯っているあの暖かさ。


後戻りできない時の流れの中で
愛しいたくさんの思い。

レンゲソウの花の中に身を沈め
無心に冠を作った春の日差しの下。
近くに感じる祖母の気配。

なぜか
どの思い出の中にも
祖母の気配が感じられる。

そして
５５歳の今
私は男の子の孫たちに囲まれている。

私のまなざしは
愛しい孫たちの潜在意識の奥底に残るだろうか。

彼らが年老いたころにも・・・。
私の情けは時空を超えて
彼らの心に灯し続けていけるだろうか？

愛しいチビ彼たちの心の中で・・・。