浮雲

メールが届いた。　

　「今日は病院でイベントがあってるよ。
　見たいといったら
　車椅子で連れて行ってくれた。
　私は寄り道するから信用ないらしい

　こんな所早く出てやる
　お互い信用もなく
　よくはならないし


　夜中珍しく金縛りに合い
　起きたら筋肉痛やし気持ち悪かった～、
　したら
　今朝　隣部屋のばぁ様が危篤のヤマで
　大変です。

　今日は友引？」



スマホをジーパンのポケットに入れ
本職事務員の私
零細企業・・・　　超零細企業・・・　（ミクロ並み）のわが社
従業員は私しかいない。

従業員であって取締役

屋内外掃除婦から
経理事務員

修理アシスタントから
調理人

宿泊施設用務員から
受付嬢

一人何約もこなしている
おっちょこちょいで間抜けなおばちゃん。
おばあちゃんの仲間入り・・・なのかな？



今日は祭日
たくさんのお客様を迎えてんてこまい。


相変わらず面白いみぃからのメールにすかさず返した。

　　「　大安よ　！　」


良かった！　友引でなくて・・・。
だったら
みぃ　天国に連れて行かれるとこだった。
シンデレラ姫に合わせてなるもんか！


　　娘が娘なら
　　　　　　母も母だ


これが　死と直面している母娘の会話（サイバー上の）かいナ

「摂食障害無食症」であろう娘は
まだ
その病名をもらっていない。

国立病院で１ヶ月の入院生活を強いられ、
内臓全ての検査の日々を送っている。

肝臓の数値は４５０　日によって１０００まで跳ね上がる。
（　健康体なら３０　）
血糖値は２０位に下がってしまう事もあり非常に危険な状態である。
（　健康体では１００が普通　）
心臓が非常に息苦しい。
腹水がたまっている。
その他　もろもろ・・・・


私には今の娘の状態がどれほど危険なのかピンとこない。


明るい娘のメールで
緩和され事の重大さがわかっていないのかも知れない。


動いて回らないとおれないので
どんなに痩せてもじっとしておれず
完璧に家事をこなし
家中ピカピカに掃除をし
空いた時間は散歩して回った日々であった。

入院中の今も
ベットでの絶対安静を聞き入れず
部屋を抜け出しては
医師泣かせを繰り返している。

　「ノイローゼになりそう
　　外で好きなことをして
　　ホナ　サイナラしたほうがよっぽどましばい」

　　というみぃ。


ノイローゼになっても良い。
気違いになってもいい。


今は命をつないで・・・

どうか神様
私の娘　みぃの人生シナリオを長編小説にしてください。


私と主人の老後の世話に追われるおばちゃんの姿を描いてください。


きっと
　みぃなら

　　おしっこを漏らした私に
　　「　あらあら　お母さん
　　　　　　おしめの中で　水質検査してるの　？」　

　　と　言うはず。

　　呆けてしまったお父さんになんて言うんだろう。

　　死に際の私の手を取って
　　なんて声をかけてくれるんだろう。

　　私はみぃのジョークで楽しくみぃより先に死んでいけるはず。
　　笑って
　　娘達より　一足速くあの世に旅立てるはず・・・。



神様　どうか　みぃの命だけはつないでください。

無知な私にはなすすべが無い。