
2012年02月13日
摂食障害の娘へ ひとすじの涙
小さなまあるい水滴が
うつむいた娘の鼻の先に膨らんだ。
まるで
小さな宝石箱のふたが開いたかのように
決して賛美されることのない鼻水の中が輝いて見えた。
私は思わず
テッシュペーパーでそっと娘の鼻水をおさえた。
「 よかった・・・
帰ってこれた・・・。 」
一筋の涙が
娘の目頭から流れ出た。
「 遠かった・・・。
こんなにうちが遠いと思わなかった。 」
小さな聞き取るのがやっとの小さな声でつぶやいた。
力なく帰り着いた娘は
ダイニングのお気に入りのイスに座り
ぐったりと目を閉じたままだった。
切ない
愛しい気持ちで
胸が張り裂けそうになった。
聞いてあげるだけで
どんな手も差し伸べることが出来ない自分がいる。
我が家から坂道を下り
橋を渡り
川のほとりの遊歩道を歩き
自分の住まいである公団住宅の4階まで
約1kmの道のりを
毎日一回は足を運ばないと気が済まない娘。
「お義母さんの仏壇にお水をあげなくては・・・」
「いかないと 気持ちが悪い。」
後10日で婿が返ってくる。
指折り数えて
祈るような気持ちで婿の帰りを待つ。
どうか
早く住まいを探し
1日でも早く仏壇を持ち娘の前から離れてほしいと・・。
どうか
穏便に娘から離れてほしいと願う。
「 こんなにきつくなるなんて思わなかった。
坂道の下で
倒れてしまうかと思った。 」
「 帰ってこれた・・・。
遠かったぁ・・。
よかったぁ・・。 」
大きな声が出せなくなった今
口元で耳を傾けなければ聞き取れないほどの
小さな 小さな声で
しぼり出すように何回も口にした。
どうして
この娘はこんなにまでして
自分を痛めつけずにはおれないんだろう・・・
しばらく目を閉じ休んだ後
私から隠れるかのように台所で背を向けて
小さなサンドイッチを口にした。
間もなく
出かけていた孫と主人が賑やかに帰ってきた。
何もなかったかのように
娘は気丈に台所に立ち昼食の準備をした。
雲一つない
陽射しの暖かい1日が流れていった。
私と孫は、主人を散歩に誘った。
私は一人になった娘が
ゆっくりと休養することを願って出かけた。
ミステリィー ウォーキングに出発

妖しげに艶っぽい青木のそばを通り抜け
躊躇なく
森の中へと踏み込んでいく。

じぃじが一緒だから
どんな山道もへっちゃら
イノシシが出てくるかもしれない山道も
レオン君がいるので安心
うっそうとした森を抜けると
展望が開け
いっぺんに開放的な気分が味わえる。
丘の斜面は野焼きが終わり
田んぼは綺麗に耕され
暖かい春風が吹き始めるのを待つばかり。

丘のほとりでは
山肌から流れ出た小さな小川に
さんさんと降り注がれる冬の日差しが映える。

レオン君 すっかりご満悦
小川の水もぬるみ春を待つばかり。
山あいから流れ出てきた小さな清流は
本流 江迎川へと 注ぎ込まれていく。

我が家のすぐそばの不老の元川でも
クレソンが小さな茂みを作り
たくさんのカワニナが生息し
ホタルの飛び交う季節が訪れることを約束している。
小さな丘を挟んで流れる2本の小川は交わることなく
それぞれに
本流 江迎川へと注がれていく。
本流 江迎川では
たくさんの魚が群れを成して泳いでいる。

その昔 娘 みいたちが探検して回った野山は
うっそうとした杉の木立も
色艶やかな青木も
間もなく花開き芳しさが増す梅林も
なんら 変わることが無く
今日の私達を 迎え入れてくれた。
元気をとりもどしたみいと共に
このやさしい森を
さわやかな丘を
清らかな小川のほとりを
歩ける日が来ることを信じていたい。
梅1輪
1輪ほどの
あたたかさ
生きてよね。 みい。
どうか 生き抜いてよね。 みい。
うつむいた娘の鼻の先に膨らんだ。
まるで
小さな宝石箱のふたが開いたかのように
決して賛美されることのない鼻水の中が輝いて見えた。
私は思わず
テッシュペーパーでそっと娘の鼻水をおさえた。
「 よかった・・・
帰ってこれた・・・。 」
一筋の涙が
娘の目頭から流れ出た。
「 遠かった・・・。
こんなにうちが遠いと思わなかった。 」
小さな聞き取るのがやっとの小さな声でつぶやいた。
力なく帰り着いた娘は
ダイニングのお気に入りのイスに座り
ぐったりと目を閉じたままだった。
切ない
愛しい気持ちで
胸が張り裂けそうになった。
聞いてあげるだけで
どんな手も差し伸べることが出来ない自分がいる。
我が家から坂道を下り
橋を渡り
川のほとりの遊歩道を歩き
自分の住まいである公団住宅の4階まで
約1kmの道のりを
毎日一回は足を運ばないと気が済まない娘。
「お義母さんの仏壇にお水をあげなくては・・・」
「いかないと 気持ちが悪い。」
後10日で婿が返ってくる。
指折り数えて
祈るような気持ちで婿の帰りを待つ。
どうか
早く住まいを探し
1日でも早く仏壇を持ち娘の前から離れてほしいと・・。
どうか
穏便に娘から離れてほしいと願う。
「 こんなにきつくなるなんて思わなかった。
坂道の下で
倒れてしまうかと思った。 」
「 帰ってこれた・・・。
遠かったぁ・・。
よかったぁ・・。 」
大きな声が出せなくなった今
口元で耳を傾けなければ聞き取れないほどの
小さな 小さな声で
しぼり出すように何回も口にした。
どうして
この娘はこんなにまでして
自分を痛めつけずにはおれないんだろう・・・
しばらく目を閉じ休んだ後
私から隠れるかのように台所で背を向けて
小さなサンドイッチを口にした。
間もなく
出かけていた孫と主人が賑やかに帰ってきた。
何もなかったかのように
娘は気丈に台所に立ち昼食の準備をした。
雲一つない
陽射しの暖かい1日が流れていった。
私と孫は、主人を散歩に誘った。
私は一人になった娘が
ゆっくりと休養することを願って出かけた。







ミステリィー ウォーキングに出発


妖しげに艶っぽい青木のそばを通り抜け
躊躇なく
森の中へと踏み込んでいく。

じぃじが一緒だから
どんな山道もへっちゃら


イノシシが出てくるかもしれない山道も
レオン君がいるので安心


うっそうとした森を抜けると
展望が開け
いっぺんに開放的な気分が味わえる。
丘の斜面は野焼きが終わり
田んぼは綺麗に耕され
暖かい春風が吹き始めるのを待つばかり。

丘のほとりでは
山肌から流れ出た小さな小川に
さんさんと降り注がれる冬の日差しが映える。

レオン君 すっかりご満悦


小川の水もぬるみ春を待つばかり。

山あいから流れ出てきた小さな清流は
本流 江迎川へと 注ぎ込まれていく。







我が家のすぐそばの不老の元川でも
クレソンが小さな茂みを作り
たくさんのカワニナが生息し
ホタルの飛び交う季節が訪れることを約束している。

小さな丘を挟んで流れる2本の小川は交わることなく
それぞれに
本流 江迎川へと注がれていく。
本流 江迎川では
たくさんの魚が群れを成して泳いでいる。








その昔 娘 みいたちが探検して回った野山は
うっそうとした杉の木立も
色艶やかな青木も
間もなく花開き芳しさが増す梅林も
なんら 変わることが無く
今日の私達を 迎え入れてくれた。
元気をとりもどしたみいと共に
このやさしい森を
さわやかな丘を
清らかな小川のほとりを
歩ける日が来ることを信じていたい。

梅1輪
1輪ほどの
あたたかさ
生きてよね。 みい。
どうか 生き抜いてよね。 みい。
Posted by パールじゅんこ at 01:47│Comments(0)