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2012年02月21日

摂食障害の娘へ お雛さま

時折 細雪の舞う冷たい日曜日だった。


一昨日は孫の通う幼稚園の日曜参観だった。
午前10時からの1時間30分。
私は
暖かい年中組の幼稚園のクラスで
孫とお雛様の工作に取り組んだ。

娘みいが幼少のころ新築された園は
常に改良され
トイレも廊下も園庭も気持ちがいい。


「お内裏様は右かなぁ?  左かなぁ?」
色紙で造った可愛いお内裏様を張り付ける作業で
担任の若い先生は子供たちに問いかけた。

  当然私の視線は我が家の孫くんに釘づけ。
     見つめても
     見つめても
     見つめても
  飽きることのない孫というもの。
  なんでこんな素敵な感情を神様は与えてくれたのだろう?
  恋でもなく
  愛というには微妙にちがうこの感情。
  癒される愛しさ・・・。
  どんな風に表現すればいい・・・?


 ところで孫くん。
 お雛様にピンと来ていない様子。

 そこで
 私は午後のスケジュールが決定した。

 「 屋根裏部屋に眠っているお雛様を出そう! 」


摂食障害の娘へ お雛さま
かわいいお雛様とお内裏様の飾りが出来上がり
私は細雪が吹き付ける園の19段の階段を
孫と駆け足で下り駐車場の車に乗り込んだ。



  途中 娘 みいが
  肩をすくめてゆっくりと歩いているのに出会った。
    冷たい風が
    小さな横殴りの雪が
  細いみいの顔に容赦なく吹き付けている。
  私はブレーキを踏んだ。
    「 乗って帰るね? 」
  みいは顔を横に振った。
    「 気を付けて 帰っておいでね。」
  私は発進した。



みいが団地にある婿の母親の仏壇の世話に
団地に行かずにおれないのはわかりきっている。
自分の体のエネルギーを消耗してまで・・
そのことがわかりきっているのに・・
散歩や 
団地の4階まで行くことに
ブレーキをかけることが出来ない娘の心の病が
不憫で仕方がない。
どうすることもできないでいる無能な母親がここにいる。

 
 昼食を終えた私は
 主人に手伝ってもらい
 二階の屋根裏部屋からお雛様の大きな箱を二つ
 ひな壇の重く永い箱を二つ
 急な階段をおろし
 床の間へと運んだ。

 当然
 「 おれも手伝う。 」と孫も箱の端っこを持っている。

 長女の初節句の昭和54年3月 
 私の両親から送られた雛飾りは痛むことなく綺麗に姿を現した。

 私が嫁ぎ先で
 肩身が狭い思いをしないようにと
 気を配ってもらったことが
 立派な雛飾りからうかがえる。
 孫のため・・・ というより
 親からの私への愛情を感じることが出来る。
 今は亡き両親に思いを馳せながら
 心は次女みいたちの幼少のころに心はスリップする。



「 ママのお雛様を飾ってあげようね。」
ひとつ ひとつ
丁寧に和紙を外しひな壇に飾っていく孫の表情は真剣である。

摂食障害の娘へ お雛さま



  賑やかな床の間に顔を出すこともなく
  娘は
  ストーブの前に座り目を閉じている。



2時間ほどして
雛壇の飾りつけが終わった。
孫君は夜になってぼんぼりがともるのを楽しみに
床の間をでた。


  窓の外は
  相変わらず吹雪いていた。


買い物に行こうとする娘を
私は10キロほど離れた大型スーパーへ誘った。
広い店内を
娘はゆっくりと買い物を楽しんだ。

裏フリースのパンツや暖かいジャンバーは
痩せ細った娘の体型をすっぽりと包み
毛糸の帽子とマスクは
娘の痩せた頬を隠した。
誰も
彼女が一寸先の命のともしびを見つめて
今という時を生きているなんて気付かないだろう。



  帰った娘は
  「鍋」の準備を始めた。

  いつものように午後7時ちょうどに
  夕食が整った。



ぼんぼりを灯したお雛さまは
色鮮やかに
長女と一緒に33回目の春を・・
次女みいの初節句を祝ってから31回目の春を・・
三女の初節句を家族でお祝いしてから27回目の
春を迎えた。


  摂食障害の娘へ お雛さま 
  31年前 みいの初節句の日の写真を眺めながら
  私は今 初めて
  雛飾りに込められた私の両親からの愛情が・・
  私へと向けられていたことに気付いた。

  21歳の私を
  徳島県から遠く離れた長崎の地へと嫁がせた両親の
  計り知れない深い愛情を
  今頃になって
  理解できたような気がする。





 


  

 



Posted by パールじゅんこ at 04:41│Comments(1)
この記事へのコメント
雛飾りにこめられた お母様の お気持ち!
あ~ 実は 孫よりも 嫁いだわが娘に あったなんて・・・

衝撃ですね。
・・・でも・・きっとそうだったんですね!!

 そのことに 気がつかれて ホント よかったですね。 お母様も ニコニコ みまもって いらっしゃることでしょう。

私なんか、 いまになっても、 母の気持ちに気付いていないことが おそらく た~くさん あるはずです。 
じゅんこさんが うらやましいです・・・ 

こうして ひとつひとつ 気付きながら年を重ねていけることが 幸せだとおもいます・・・  
Posted by アジュンマふきこ at 2012年02月21日 19:41
 
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