
2012年06月03日
摂食障害の娘と共に いばらの道

花いばら
故郷の道に
似たるかな
= 与謝 蕪村 =
可憐な野ばらが咲き誇っている。
道端を
毎朝みいは散歩する。

みいが小学生の時に移り住んだこの地で
みいは遊んだ。
遊んで育った。 幼馴染たちと共に。
この一本の坂道は
こどもたちの遊び場であり
日が暮れるまで笑い声が絶えなかった。
あの時の野ばらは
20年の時の流れを感じさせることなく
道端で咲き続け
藪の中からみいを見つめる。

みいは 心地良い朝の空気を吸いながら
ゆっくりと歩く。

子供の頃のみいを見つめていた
石垣の上のバラの花も
20年経った今も変わることなく
みいを見つめる。

みいは
どれだけの思い出を
壊すことなく 保っているんだろうか・・・。
高次脳機能障害
みいの脳からどれだけの記憶が破壊されたのだろうか。
6月1日(金)
午後8時50分過ぎ
心地良いテンポで始まった「世界の車窓から」は
スイスの山々を映し出した。
私は
懐かしい映像にうっとりとした。
「 みい ユングラウフ ヨッホ 行ったよね。 」
その後に そっと 付け加えた。
「 山のてっぺん
雪で真っ白だったよね。 寒かったよね。
覚えてる? 」
みいは一瞬 表情を曇らせた。
「 知らん・・。 」
「 パリは・・・?
みいたち お姉ちゃんとMIHOと
ハンバーガー持って帰りたくて
takeout takeout と言ったら
ケチャップくれた・・・て大笑いしたよね。 」
「 知らん・・・。 」
困ったような顔をして答えたみい。
私は話を中断した。
娘たちの人生への宝物にしたくて・・
娘たちに思い出という財産を与えたくて・・
家族そろって出かけた沢山の旅の思い出が・・・欠けた。
全て
欠けてしまったんだろうか・・・。
私は 話を中断した。
高次脳機能障害
積み重ねてきたたくさんの思い出が
どれだけ
壊れてしまったんだろうか・・・。
それは
再びみいの脳の中によみがえってくるものだろうか・・。
摂食障害 それに加えて 高次脳機能障害
私達に与えられた明日は
非常に険しいいばらの道が
待ち受けているように感じられた。
私は 非常に冷静にこの事態に直面した。
この事態に対して
母親である私を冷静に見つめ
一心同体のように育ってきた妹みいの現実を見つめて
長女は言う。
「 お母さん
お母さんと お父さんは
みいを残して先に死んでいくんだよ。
その後 みいがどのように生きていくかを
考えてあげないと いけないよ。
その後
みいがどうやって生計をたてていくかを
考えておかないと・・・。 」
長女の婿は
精神病院の作業療法士として
「高次脳機能障害」という病気を専門として働いている。
私達家族に待ち受けている問題は
甘いものではないことが
私には 解り始めた。

Posted by パールじゅんこ at 01:04│Comments(4)
この記事へのコメント
じゅんこさん、こんばんは。 先日、娘と実家に泊まりに行き、夜父母、娘と近くの山に蛍を見に行きました。小さな暖かい光がふわふわ揺らめいて、わずかな余命を燃やしているように見えました。父ががんを宣告されたひのことです。 失うのが怖い。命って本当にかけがえのないもの。どうか神様、娘も父も連れていかなで。
Posted by 雅美 at 2012年06月13日 20:39
雅美さま
私は30歳後半に母を亡くしました。
68歳の母の突然の悲報から立ち直るのに
私は長い年月がかかりました。
そして、数年後舅が逝ってしまいました。
痛々しい主人の悲しみを目のあたりにしました。
そして父との別れがやってきました。
沢山の思い出を残して父は逝ってしまいました。
優しかった姑に10年という歳月向き合ってきました。
逝ってしまった姑は 私の心の中心で笑っています。
それはどんな時でも優しい笑顔で見つめてくれています。
雅美さん
私の4人の親は
この世に居なくても いつも私を守ってくれているように感じます。
すぐそばで寄り添ってくれているように感じられます。
悲しみはいつの日か懐かしさに変わりました。
心の中で 生きています。
私が生きている間 4人とも生きています。心の中で。
お父様は戦うでしょう。 がんと言う悪魔と。
お母様はきっと笑顔でお父様をささえるでしょう。
雅美さんにできることは・・・。
笑顔です。
私はそう思わずにおれません。
あなたの笑顔で
お母様は頑張れる。
あなたの笑顔で
お父様は戦える。
あなたの笑顔で
娘さんを失うことは無い!
私はそう信じています。
雅美さん 笑って。 ね!
望んでいるはず。あなたの笑顔を ご主人が。
守ってくれるはず。 笑っているあなたを ご主人が。
どうか
信じて笑顔を絶やさないで! あなたは一人ではないからね。
私は30歳後半に母を亡くしました。
68歳の母の突然の悲報から立ち直るのに
私は長い年月がかかりました。
そして、数年後舅が逝ってしまいました。
痛々しい主人の悲しみを目のあたりにしました。
そして父との別れがやってきました。
沢山の思い出を残して父は逝ってしまいました。
優しかった姑に10年という歳月向き合ってきました。
逝ってしまった姑は 私の心の中心で笑っています。
それはどんな時でも優しい笑顔で見つめてくれています。
雅美さん
私の4人の親は
この世に居なくても いつも私を守ってくれているように感じます。
すぐそばで寄り添ってくれているように感じられます。
悲しみはいつの日か懐かしさに変わりました。
心の中で 生きています。
私が生きている間 4人とも生きています。心の中で。
お父様は戦うでしょう。 がんと言う悪魔と。
お母様はきっと笑顔でお父様をささえるでしょう。
雅美さんにできることは・・・。
笑顔です。
私はそう思わずにおれません。
あなたの笑顔で
お母様は頑張れる。
あなたの笑顔で
お父様は戦える。
あなたの笑顔で
娘さんを失うことは無い!
私はそう信じています。
雅美さん 笑って。 ね!
望んでいるはず。あなたの笑顔を ご主人が。
守ってくれるはず。 笑っているあなたを ご主人が。
どうか
信じて笑顔を絶やさないで! あなたは一人ではないからね。
Posted by パールじゅんこ
at 2012年06月14日 23:06

じゅんこさん、ありがとうございます。辛い時こそ、笑顔ですね。じゅんこさんのブログを読むといつもこころが癒され元気がでます。 じゅんこさんとのブログでのやりとりでどれ程 わたしが救われたことか。 いつも笑顔を心がけます。みいさんも日々お元気になられているようですね。わたしもとても嬉しいです。じゅんこさんがお母様なのですから、絶対大丈夫です。私も笑顔でしっかりしなくては。じゅんこさん、ありがとう。
Posted by 雅美 at 2012年06月16日 09:56
雅美さん
私は 気がくるってしまうかと思っていました。
娘は死んで行ってしまうかと思っていました。
主人も娘を失うと思っていました。
主人は娘を失ったら 私が気がくるってしまうと考えていました。
きっと主人の方が気が気じゃなかっただろうと思います。
その深い苦しみの淵から
私を支えてくださったのは、沖縄在住の見ず知らずの方です。
私のブログを見てメールを頂きました。
私はこの方によって
つぶれてしまいそうな心に
つっかい棒をして死んでしまいそうな娘を見つめてきました。
怖かった。
いろんな事を後悔しました。
結婚させた途端 始まった娘の苦しみを
救ってやれなかった自分を責めました。
苦しい娘の胸の内を とことん聞いてやらなかったことへの後悔。
母親の私に逃げ込んでこれない状態を作っていた自分を責めました。
挙句の果て
娘は生まれ持って障害を持っていたのか・・・などと
とんでもないことを考えてしまっていました。
そんな葛藤の中
悪化していく娘の容態に私は祈るしかなすすべがありませんでした。
そんな
深い 深い 暗闇からHさんは救い出してくれたのです。
常に 頻繁に 私を励ましてくださいました。
私は人は決して孤独ではないと信じています。
心を開けば
必要な時に必ず手を差し伸べてくださる方が
現れるでしょう。
雅美さん
一生懸命生きているあなたを・・・
私と同じ悩みを抱えて懸命に生きる
見ず知らずのあなたを
私は愛しく思います。
共に 一生懸命 生きていきましょうね。
良かった探しをしながら・・・ね。
私は 気がくるってしまうかと思っていました。
娘は死んで行ってしまうかと思っていました。
主人も娘を失うと思っていました。
主人は娘を失ったら 私が気がくるってしまうと考えていました。
きっと主人の方が気が気じゃなかっただろうと思います。
その深い苦しみの淵から
私を支えてくださったのは、沖縄在住の見ず知らずの方です。
私のブログを見てメールを頂きました。
私はこの方によって
つぶれてしまいそうな心に
つっかい棒をして死んでしまいそうな娘を見つめてきました。
怖かった。
いろんな事を後悔しました。
結婚させた途端 始まった娘の苦しみを
救ってやれなかった自分を責めました。
苦しい娘の胸の内を とことん聞いてやらなかったことへの後悔。
母親の私に逃げ込んでこれない状態を作っていた自分を責めました。
挙句の果て
娘は生まれ持って障害を持っていたのか・・・などと
とんでもないことを考えてしまっていました。
そんな葛藤の中
悪化していく娘の容態に私は祈るしかなすすべがありませんでした。
そんな
深い 深い 暗闇からHさんは救い出してくれたのです。
常に 頻繁に 私を励ましてくださいました。
私は人は決して孤独ではないと信じています。
心を開けば
必要な時に必ず手を差し伸べてくださる方が
現れるでしょう。
雅美さん
一生懸命生きているあなたを・・・
私と同じ悩みを抱えて懸命に生きる
見ず知らずのあなたを
私は愛しく思います。
共に 一生懸命 生きていきましょうね。
良かった探しをしながら・・・ね。
Posted by パールじゅんこ
at 2012年06月16日 21:57
