
2013年03月25日
出水の鶴 空上の緊急会議
グァー グァー グァー
あっ 飛んで来た!!
出水の靏の北帰行である。
沢山の鶴の鳴き声が聞こえ
大粒の雨が降り始めた空をみあげた。

でも
なんでこんな日に?
雨・・・ 雨が降り始めたのに。
お天気が崩れるのは解っていたはずなのに
どうして
鹿児島県出水を飛び立ったの・・・?
3月22日(金)
午後12時50分
ぽつぽつと雨が降り始めた。
その10数分後
雨雲に抑えられたかのように
低い位置をたくさんのナベヅルが飛んできた。

午後1時10分
大粒の雨が降り始めた。
羽ばたく音が聞こえてきそうなくらい
低い位置を
ゆっくりと東の山を超えて飛んできた
100羽を超える出水のナベヅルたちは
見上げる私の頭上で
緊急会議を開きだした。
小さな群れがコースを外れ
今まで見たことのない方角である
北へと誘導し始め
2/3ほどの集団のナベヅルがそれに同行しようとした。
しかし
1/3ほどの集団のナベヅルたちは
形を整え
例年のコースである西へと向かって
飛んで行こうとした。

大きな声で
2/3ほどの集団がくるくると回りながら鳴いた。
まるで
西に飛ぶのを引き止めるかのように
激しく鳴いた。
西に向かって飛ぼうとした1/3の集団は
飛ぶのをやめて
北向きに進行方向を変えようとしている
2/3の集団に向かって集合した。
全体が
大きく解け合って旋回を始めた。
それは
不思議な光景だった。
降り始めた雨の中を
進むことを躊躇したかのように
一羽 一羽がはっきり見えるくらいの低い位置を
東の山を越え、飛んできたナベヅル達。
何時ものコースを取り飛んでいこうとする集団を
一か所に統一させたあと
全ての鶴が別れ別れになることを避け
北に向かって低い位置をゆっくりと飛んで行った。

進んでいこうとする方角がいつもと違うので
私は驚いた。
鶴たちは何処に向かったんだろう。
午後1時30分
雨足が激しくなりだした。
私は北に向かって飛んで行った鶴たちに
心を痛めながら仕事を続けた。
雨脚は激しさを増し
駐車場にはみるみる間に水たまりができた。
私は
気が気じゃなかった。
長崎の上空を飛んで行く鶴たちは
渡りの中継地である韓国 北朝鮮を経て
繁殖地の中国 シベリアへと帰る。
長崎の上空を過ぎると
海の上を飛んでいくはずである。
この雨の中
いったいどうするんだろう。
力強いリーダーたちは
逞しく飛び続けるだろうが
年老いた夫婦の鶴や
新しくカップルとなった若い鶴達には
それだけの力が備わっているのだろうか?
私は
仕事中も気がそぞろだった。
雨が降るとわかっていただろうに
どうして
出水を飛び立ってきたのか・・・
リーダーを責めた。
夕方になっても止もうとしない雨に
心を痛めた。

翌朝 3月23日(土)
鶯の声で目が覚めた私は
勝手口のドアを開けた。
雨は止み暖かい風が吹いていた。
私の心は重かった。
出水の鶴たちはどうなったのだろうか・・・。
出社した私に
社長から吉報が伝わった。
「 昨日の鶴は 山向こうの農地に
降り立ったって 新聞にのっているゾ! 」
私は休憩時間を待って新聞を広げた。

その記事を読み
鶴のリーダーに思いを寄せた。
先頭に立ち大きな羽を広げ風を受け
後に続く鶴達へ風の抵抗を少なくする
逞しいリーダーの鶴に密かに詫びた。
降り出した雨から
仲間をまもるために
先に進むことをあきらめ
出水を飛び立って数時間しか経っていないが
渡りの中継地をこんな近くに決定した
その判断力に感動を覚えた。
例年のように
西の方角に飛んでいこうとしていた別の集団を
大きな鳴き声で呼び寄せ一丸となって北へと向かった。
そして
僅か10分後に
農地に降り立ったナベヅル。
僅か10~15分の
感動的なドラマが私の頭上で展開された。
私は
ますますもって
出水の鶴の大ファンになった。
しかし
今だに解らない。
2~3日好天が続く日しか
北帰行を見送ったことが無かったのに
こんな
天気の崩れるとわかっている日に
どうして 飛び立ってきたのかわからない。
ちょっとした判断ミス?
気が焦った?
こんなことは毎度のこと?
・・・・・

どうか
無事に繁殖地に帰り着くように
出水の鶴のファンの一人として
エールを送り続けたい。
青い空の下を
風の応援を受けて元気に飛んでいきますように・・と


秋が深まり
子供たちを囲んだ鶴たちが
出水に向かって飛んでくる日まで
私も
たくさんのやらなければならないことがある・・・
親として。

あっ 飛んで来た!!
出水の靏の北帰行である。
沢山の鶴の鳴き声が聞こえ
大粒の雨が降り始めた空をみあげた。

でも
なんでこんな日に?
雨・・・ 雨が降り始めたのに。
お天気が崩れるのは解っていたはずなのに
どうして
鹿児島県出水を飛び立ったの・・・?
3月22日(金)
午後12時50分
ぽつぽつと雨が降り始めた。
その10数分後
雨雲に抑えられたかのように
低い位置をたくさんのナベヅルが飛んできた。






午後1時10分
大粒の雨が降り始めた。
羽ばたく音が聞こえてきそうなくらい
低い位置を
ゆっくりと東の山を超えて飛んできた
100羽を超える出水のナベヅルたちは
見上げる私の頭上で
緊急会議を開きだした。
小さな群れがコースを外れ
今まで見たことのない方角である
北へと誘導し始め
2/3ほどの集団のナベヅルがそれに同行しようとした。
しかし
1/3ほどの集団のナベヅルたちは
形を整え
例年のコースである西へと向かって
飛んで行こうとした。

大きな声で
2/3ほどの集団がくるくると回りながら鳴いた。
まるで
西に飛ぶのを引き止めるかのように
激しく鳴いた。
西に向かって飛ぼうとした1/3の集団は
飛ぶのをやめて
北向きに進行方向を変えようとしている
2/3の集団に向かって集合した。
全体が
大きく解け合って旋回を始めた。
それは
不思議な光景だった。
降り始めた雨の中を
進むことを躊躇したかのように
一羽 一羽がはっきり見えるくらいの低い位置を
東の山を越え、飛んできたナベヅル達。
何時ものコースを取り飛んでいこうとする集団を
一か所に統一させたあと
全ての鶴が別れ別れになることを避け
北に向かって低い位置をゆっくりと飛んで行った。

進んでいこうとする方角がいつもと違うので
私は驚いた。
鶴たちは何処に向かったんだろう。
午後1時30分
雨足が激しくなりだした。
私は北に向かって飛んで行った鶴たちに
心を痛めながら仕事を続けた。
雨脚は激しさを増し
駐車場にはみるみる間に水たまりができた。
私は
気が気じゃなかった。
長崎の上空を飛んで行く鶴たちは
渡りの中継地である韓国 北朝鮮を経て
繁殖地の中国 シベリアへと帰る。
長崎の上空を過ぎると
海の上を飛んでいくはずである。
この雨の中
いったいどうするんだろう。
力強いリーダーたちは
逞しく飛び続けるだろうが
年老いた夫婦の鶴や
新しくカップルとなった若い鶴達には
それだけの力が備わっているのだろうか?
私は
仕事中も気がそぞろだった。
雨が降るとわかっていただろうに
どうして
出水を飛び立ってきたのか・・・
リーダーを責めた。
夕方になっても止もうとしない雨に
心を痛めた。






翌朝 3月23日(土)
鶯の声で目が覚めた私は
勝手口のドアを開けた。
雨は止み暖かい風が吹いていた。
私の心は重かった。
出水の鶴たちはどうなったのだろうか・・・。
出社した私に
社長から吉報が伝わった。
「 昨日の鶴は 山向こうの農地に
降り立ったって 新聞にのっているゾ! 」
私は休憩時間を待って新聞を広げた。

その記事を読み
鶴のリーダーに思いを寄せた。
先頭に立ち大きな羽を広げ風を受け
後に続く鶴達へ風の抵抗を少なくする
逞しいリーダーの鶴に密かに詫びた。
降り出した雨から
仲間をまもるために
先に進むことをあきらめ
出水を飛び立って数時間しか経っていないが
渡りの中継地をこんな近くに決定した
その判断力に感動を覚えた。
例年のように
西の方角に飛んでいこうとしていた別の集団を
大きな鳴き声で呼び寄せ一丸となって北へと向かった。
そして
僅か10分後に
農地に降り立ったナベヅル。
僅か10~15分の
感動的なドラマが私の頭上で展開された。
私は
ますますもって
出水の鶴の大ファンになった。
しかし
今だに解らない。
2~3日好天が続く日しか
北帰行を見送ったことが無かったのに
こんな
天気の崩れるとわかっている日に
どうして 飛び立ってきたのかわからない。
ちょっとした判断ミス?
気が焦った?
こんなことは毎度のこと?
・・・・・

どうか
無事に繁殖地に帰り着くように
出水の鶴のファンの一人として
エールを送り続けたい。
青い空の下を
風の応援を受けて元気に飛んでいきますように・・と


秋が深まり
子供たちを囲んだ鶴たちが
出水に向かって飛んでくる日まで
私も
たくさんのやらなければならないことがある・・・
親として。

Posted by パールじゅんこ at 01:23│Comments(0)