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2013年06月12日

摂食障害の娘と共に365日 大風呂敷

カエルの大合唱と共に
リーンリーンと虫の声が聞こえ始めた。

真夏がやってこないのに
沢山の虫が草むらの中で鳴きだした。



昨年の秋
私は暗中模索の日々が続いていた。
みいとの触れ合う時間を大切に大切に暮らしていたような気がする。
まだまだ痩せ細った身体だったが
外食を楽しみ たくさん美味しいものを食べた。
みいは甘いものを好み 
パフェやケーキ アイスクリームには目がなかった。

過食・・・・?
たくさん食べたが
吐いている気配は全くなかった。

記憶を無くしていたことによって
拒食だった自分を忘れたみい。

神さまは
苦しんできたみいに
粋な計らいをしてくれた。
神さま・・・  そう感じずにおれなかった。

摂食障害の娘と共に365日 大風呂敷



今 HAYATOはふざけて言う。

 「おうちのなかで だれがいちばんおいしいでしょう!」
 「 HAYATOにきまっているでしょう。
  ふわふわと柔らかいし お肉もきれいだから 」

 「 ちがうよ ママだよ。
  ママがいちばん おいしいよ。
  だって いつもおいしいものばかり 食べているから」

ごもっとも!
家族全員 笑う。

 「 ごもっとも! 」
 「 ママをかじると きっと 甘いよね。」

 「ママずるいよね いつもおいしいものばかりたべてるよ。」

 「 HAYATOのものはママのもの
   ママのものは もちろんママのもの! 」

 「 ずる~~い!! 」

    摂食障害の娘と共に365日 大風呂敷  

私は みいと二人っきりで・・・
女だけでしか味わえないランチを楽しんだ。

HAYATOには内緒で・・ベー
もちろん主人にも内緒で・・ピース





昨年 平成24年秋
緩やかに回復していくみいをみつめながら
みいの生活スタイルに合わせて行動した。
みいも私たちのリズムに合わせて暮らし始めた。
みいのリズムを崩すことの無い様に日々を送った。

きっちり
時間どうり動くみいの毎日に根気よくきっちり合わせた生活を送った。
時計を見ながらきっちりと・・・
臨機応変がこのころのみいには通用しなかった。



チクタク
   チクタク
      チクタク・・

私達家族は一定のリズムで
規則正しく
時間にぴったりの生活を送った。


午前7時朝食
午前8時 登園・出勤
午後5時30分 家族全員そろって帰宅
午後7時 夕食
午後9時 HAYATO就寝。

この家族の時間に合わせてみいは動いた。

午前7時50分  洗濯物を干す
午前8時  玄関先で家族を見送る。
午前9時まで 家の周りを散策
    雨の日も 風の日も畑を眺め・・
    野の道をゆっくりと散策した。
午前9時 一人で朝食
午前10時30分 買い物に出かける
午前11時30分~50分 帰宅
    荷物を置いてから
    家の外周りを掃除
午後12時30分  一人で昼食
 
  家の中の掃除 
  昼寝
  洗濯物の取り込み
  …etc 家事全般
午後5時30分 夕食の準備
午後6時50分 10分だけ散歩
午後7時きっちり夕食

このリズムは10分と変えることが出来なかった。

どんな状況においても
時計どうりに動いた。

私達はみいのリズムを崩すことなく動いた。

24年8月
HAYATOの園の夏祭りでは
様子を眺めて無表情のまま
ボーと突っ立っているだけだった。
焦点がHAYATOにあっていない・・・・
    そう 感じた。

24年9月
HAYATOの園の運動会では
私と並び HAYATOの姿を追って応援をし、
私の代わりにビデオを回した。
だが
親子お遊戯では HAYATOのそばで立っているだけだった。

私は感じていた。

みいには常に刺激が必要だと・・!
たくさんの人の輪の中に加わることが必要だと・・!
間もなく
私はHAYATOの園のお迎えをみいと交代した。


私の心の内を読んだのか
「 あんたの仕事を手伝わせればよか!
  事務所にみいを連れてきないよ。 」
と 社長が暖かい言葉をかけてくれた。
私はことあるごとに
自宅に帰り みいを私の職場に連れ出した。

みいは指示をしないとぼーと突っ立っていた。
ひとつ終わらせると  又ぼーとしていた。
  高次脳機能障害
私はネットで調べた。
その大変な病気のことを・・。
みいの行動はきっちりとその病気に当てはまっていた。
私は 気が遠くなる思いがした。
私は何歳まで生きて みいを守ってあげられるのだろうか・・と
真剣に考えた。

真剣に考えながらも私は無謀な計画を立てた。
常にみいに新しい事に挑戦させたかった。

主人の心配を他所に
私はみいの為にみいの車を買う計画を立てた。
私の提案に周りはみんな反対をしたが
今度は私の番だった・・。
 「 大丈夫! 大丈夫!  」

「 馬鹿たれ! 相手があることだぞ! 」と
主人は私を叱った。

昨年3月
独身時代から乗っていたみいのワゴンRを
みいの代わりに私が乗り回していて
ターボが故障してしまった。
修理をするよりも
入退院を繰り返しながら離婚をしたみいの生活を
一新するつもりで買いなおすことに決めた。
みいの人生の再出発を
新車で希望をつなごうと家族で考えた。
だが
新車の手配をしている途中で
4月にみいの容態が悪化し明日をも分からなくなってしまった為
私達夫婦は頭を下げて商談を取り消してもらった。

秋が訪れ みいの健康状態が落ち着いてきた。
私はみいに行動範囲を広げさせ
沢山の希望をもって一日一日を送らせたくて
再び車を購入する計画を立て直した。
主人に頭をさげ、
みいには無理だと言う長女の説得は無視をした。

いますぐ乗れなくてもいい。
飾り物になってもいい。
みいに希望を持たせたかった。

主人は
眉間にしわを寄せながら
強引で無謀な私の提案にしぶしぶ承諾した。

我が家はお金持ちと呼ばれる家庭では無い。
私は
へそくり貯金通帳とにらめっこした。
そして 大風呂敷を広げた。

再び
長年お世話になっているカーセンターの営業マンを訪ねた。
一度キャンセルを入れたワゴンRはモデルチェンジしていた。
注文後 入荷まで1か月以上かかるとのこと・・・
みいの希望を 夢を その車に託す事にした。


   その秋  みいは32歳の誕生日を迎えた。

 摂食障害の娘と共に365日 大風呂敷

       平成24年 秋

   間もなく みいに愛車が届くだろう。



Posted by パールじゅんこ at 23:57│Comments(0)
 
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えっちら おっちらと進む人生。
苦しいことも乗り越えたはず。
悲しいことも通り過ぎたはず。
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100%信じている私こと じゅんこです。


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