
2013年09月05日
鹿児島・宮崎・熊本そして長崎の旅 その六
小さな池の中の砂を
ふわふわと押し上げて
湧き出してきた清らかな水は
水草を心地よさそうに揺らし
小さな流れとなって 川をつくり流れ出していく
いつまでもいつまでも
こんこんと湧き出してくる清流を
黙って見つめていると
心まで浄化してくれるような気持ちになる。

水草の合間から湧き出す水によって
吹き上げられる砂の動きを見つめていると
何の汚れもない誕生したばかりの赤ちゃんの
綺麗な心臓の動きが想像された。
命の根源を見つめた・・・そんな思いがした。
「 おしまい 」のない
綺麗な優しいお芝居を見ているような気分になった。
自分自身が
意を決してピリオドを打たないと永遠に続く物語の前から
立ち去ることは出来ない・・
そんな思いに駆られた。

沢山のチビッコ達や若者たちが
水源から流れ出した小川で
靴を脱ぎ水遊びを楽しんでいた。
真夏の日差しを遮った高い杉木立の合間を
毎分60トンの湧水が勢いよく流れて行き
天然の足湯・・ならぬ足水を楽しむのに
格好の憩いの水辺をつくりあげていた。
阿蘇から熊本までの道のりで
阿蘇大橋付近の渋滞を知っている私たちは
HAYATOを遊ばせることをせず
先へと急いだ。
熊本発 13時40分の九商フェリーに乗船し
長崎 島原へと渡るために
ぐずぐずしてはいられなかった。
高千穂町の「 ホテル 四季見 」で頂いた
心いっぱいに暖かさを運んでくれたお弁当は
道中の車の中で食べることにして
白川水源の水を汲んで
ルート325を熊本港へと出発した。
案の定
阿蘇大橋の手前で渋滞となってしまった。
最初からこのことを想像していたので
止まり 止まり進む車の中で
おにぎりを広げた。
梅干しの入ったおにぎりは
塩加減が絶妙で
おかずなど必要のないほど美味しかった。

おにぎりを頬張りながら
HAYATOのおしゃべりは続いた。
阿蘇大橋の信号による自然渋滞は
橋を渡ると解消され
車はスムーズに流れ
カーナビの到着予定時間を大幅に縮め
主人は疲れも見せず熊本港へと家族を運んだ。
熊本港に到着し
九商フェリー乗り場の駐車場に車を停めると
隣の乗り場で乗船を始めていた
スマートな船体のフェリーが目に入った。
時速60キロで
熊本と島原を 30分で結ぶ
熊本フェリー「 オーシャンアロー 」が
乗船を開始していた。

超高速カーフェリー オーシャンアロー
一般的な内航航路の船は
14ノット(時速約26キロ) 程度の速度で運航するが
オーシャンアローは
30ノット(時速56キロ) の高速船である。
熊本から島原を30分で結んでいる。
そのスマートな船体と時間短縮は
非常に魅力的であったが
1時間というゆっくりとした時間を
ハンドルを握る主人の休憩時間に当てる事に
重点をおいているので
迷うことなく オーシャンアローを見送った。
1時間ごとに運航する九商フェリーに
HAYATOは瞳を輝かせて乗り込んだ。

船の大好きなHAYATOは
フェリーの中を探検し
甲板に出て海を眺めた
疲れをとるために
クーラーの効いた客室でうたた寝を始めた主人を残して
私もみいも
HAYATOに付き合い甲板で海を眺めて過ごした。
一時間はあっという間に過ぎ
小さなフェリーは
長崎 島原港へと入港した。

夏休みの登校日である8月9日に
HAYATOは小学校の平和集会で
長崎に原爆が投下され
多くの人々が犠牲になったことを学んだ。
そして
毎日の学習の「 夏休みの友 」の一ページに載っている
原爆の平和記念像に興味を持った。
自ら
「長崎の平和公園に行って原爆の記念像を見たい」と言った
幼いHAYATOの希望に沿ってあげることが出来る事に
私は満足を覚えた。
Posted by パールじゅんこ at 08:08│Comments(0)