てぃーだブログ › 浮雲 › 追憶の日々と現実

2013年09月18日

追憶の日々と現実

  1998年発行 
  熊本県立多良木町立 
  槻木小学校創立100周年記念誌

亡き母の弟である叔父は
笑顔で私たちを迎えてくれた。

88歳の叔父は机に手をついて立ち上がり
まがった腰に手を置きながら
押し入れの中から一冊の本を出してきた。

平成19年より休校中の母の母校の記念誌である。
叔父は
「 どれがお母さんかわかるね? 」
と 開いて差し出してくれた。

  昭和6年卒業生
  谷崎サツ子 


卒業生名簿の中にある母の名前・・・
私は
目を凝らして一人一人の
ふっくらとした女の子の顔を見つめた。
私の幼いころに・・
私の姉の顔に・・・
似ている子を探した。
しかし・・
解らなかった。

「 おじさんにも解らんバイ。 」
叔父は眼鏡の奥の目を細め笑った。

叔父、叔母は
叔父の次男坊達家族と暮らしている。
いつも控えめな笑顔を絶やさない従兄弟のお嫁さんが
お茶と美味しいロールケーキを出してくれた。
食事の後だったが
私達4人はぺろりと食べた。
HAYATOへのお菓子やぶどうなど
良いタイミングでおもてなしが続いた。

   カフェ   カフェ   カフェ

母の思い出話や
主人と叔父の会話
叔母の近況報告や
HAYATOのおしゃべりなど
みいの合図地も無理がなく
いろんな話が飛び交いあっという間に
午後5時が過ぎた。

テレビの上に飾られている
沢山の写真立ての中のひとつである
若いころのふっくらと綺麗な母の写真に目をやって
私達は腰を上げた。


  
カメラを手に
見送りに出てくれた叔父を囲んで
シャッターを押してくれる従兄弟のお嫁さんの笑顔の前で
すまし顔を向けた。
私はあえて自分のカメラは出さなかった。

叔父から
手紙と今日の日の写真が送られてくるのが
解っているからである。

私と主人 HAYATOとみい
そして叔父と伯母が写ったこの写真は
叔父の分厚い手紙と共に
大阪に住む私の姉と
徳島に住む二人の兄の下に送られることが
私には解りきっている。

叔父は10人の兄弟の中でも
一番気が合って仲良くしていた母の子供である私達を
離れて暮らしていても
非常に気にかけて可愛がってくれる。

忙しく過ぎ去った日々の中に
沢山の思い出を取り残してきた。
平穏な暮らしを手に入れた今
無性に母に思いを寄せる。

静かで穏やかな時間が流れている。

  人生 山あり 谷あり


平和に過ぎていく時間は
両手で優しく受け止めて
温めながら
過ごして行かなければ! と胆に銘じる。

どんなストーリーが
私達家族に練られているのか・・・
神さまたちのミーテイングは遥か雲の上の世界である。


    秋がやってきた。


おしろい花の香りに包まれる夕方
この花が好きだった亡き母を思い出す。

懐かしく優しい母との思い出に私の心は
優しく抱きしめられる。
追憶の日々と現実


   野辺の花々は
   厳しかった夏を乗り越えてきたことへの
   賛歌である様に
   一心に咲き乱れている。
   追憶の日々と現実

白い雲が ゆっくりと流れていく。
追憶の日々と現実
平穏で ゆったりとした日々が過ぎていくはずだった。

   しかし
   私は
   新たな試練を受けることになった。

   頑張れるだろうか。
   頑張らなければならない。


   決算期を迎えた8月末のことである。
   あと少しで決算書が作成できると
   ほっと一息ついた日の朝だった。

   雑用を終わらせパソコンを立ち上げた。
   振替伝票を入力するためにひらいた「弥生会計」の
   一年分のデータが突然消えたのである。

  「 弥生会計7 スタンダード 」
  私は慣れたソフトを
  うかつにも長く使いすぎてしまった。
  
  ある日突然消えてしまった一年の努力。

  しかし
  なぜだか へこたれなかった。
  「 馬鹿だな…」と自分自身にあきれた。

  新たに購入する
  「弥生会計13 スタンダード」 は
  会社で使っているパソコン Windows Vista
  対応していなかった。
  私はあわてて 社長を説得してパソコンを買いなおした。
 
  我が家のパソコンはWindows 7である。
  若干操作方法が変わったので戸惑うが
  
  Windows 8を目の前に
  私の無駄ともいえる新たな挑戦が始まった。

  なれないWindows 8に向かい
  一年分の伝票の入力に追われる羽目になった。
  
   


   
 
  雑用に追われながら
  私は一心に入力を済ませ 
  決算書を作成しなければならない。
  タイムリミットは10月半ばである。

  行楽シーズンを迎え
  一年中で一番忙しいこの時期に
  なんで・・・・?

  私はきっと 足元を固めて歩くことに
  欠けているんだと
  今更ながらあきれる・・・。
  もう少し 足元をしっかり固め
  冷静に判断して じっくりと進まなければ
  こんなミスを繰り返すことになる。

  私は
  強い味方である体力が衰えてきている年齢に達している。


  我が家の置き薬の中の
  栄養ドリンクは すでに飲んでしまった。




   あ~あ
   浮雲は笑っているだろうな・・

   せっかく
   ゆったりと空を眺める
   爽やかな季節がやってきたというのに・・・。

  追憶の日々と現実



Posted by パールじゅんこ at 05:19│Comments(0)
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 15人
プロフィール
パールじゅんこ
パールじゅんこ
えっちら おっちらと進む人生。
苦しいことも乗り越えたはず。
悲しいことも通り過ぎたはず。
やってくる明日は
絶対幸せで楽しいはずと
100%信じている私こと じゅんこです。


オーナーへメッセージ