
2013年10月17日
名案
抜き足 差し足・・・
身支度を整えそ~~と玄関をでた。
静かに鍵を閉め足元に注意しながら外に出た私は
チラチラと揺れながら輝く満天の星を仰いだ。
空の真ん中でオリオン座が輝いていた。
あかつきを迎えるには
まだ少しだけ時を刻まなければならない。
午前5時少し前
私はそっと車に乗り込み自宅を後に職場に向かった。
静かにスタートした一日に似合うように
カーオーディオから
森山良子の「さとうきび畑」の歌が静かに流れてきた。
耳を傾けながら
2個の点滅式の信号機を通り過ぎ
更に3個の押しボタン式信号機を通過し
自宅から職場まで約6kmの道のりをノンストップで進んだ。
心の中が緑の風に吹かれているような
錯覚に陥りながら
もの悲しい森山良子の歌の世界にひたりながら
自宅前の坂道を下り
田舎の商店街の中を通り
真っ暗な海沿いの田舎道へと車を走らせた。
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
今日もみわたすかぎりに緑の波がうねる
夏の陽ざしの中で
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
むかし海の向こうからいくさがやってきた
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
・・・・・・
カーオーディオから流れてくる「さとうきび畑」は
自宅から職場まで続いた。
お客様の仮眠所のある駐車場にそ~~と車を停めた。
まるでドラマを見ているかのように
11分におよぶ森山良子の歌声から
風に揺れるさとうきび畑の情景が
私の心の中に広がった。
・・・・・・
ざわわ ざわわ ざわわ 風に涙がかわいても
ざわわ ざわわ ざわわ この悲しみは消えない~~。
駐車と同時に森山良子の歌声がおわった。
エンジンを止めた後
その心を込めた歌声に感動ししばらく余韻をたのしみ
そっと 車を降りた。
私は急ぎ足で歩いて事務所の鍵を開けた。
きっと頭上には輝く星空が広がっていただろうが
私にはすでに空を仰ぐ心のゆとりがなかった。
車のキーを外した途端
この後の仕事の段取りが頭の中に広がり
手探りでバックの中の鍵を取り出しながら
急ぎ足で事務所へと向かった。
又 慌しい一日がスタートした。

早朝より遠路足を運んでくださる
たくさんの釣りのお客様の応対をし
昼は海の上の釣りイカダで釣り客の
バーベキューのお世話をするなど・・・
続けてきた17年目の1日が終わった。
午後になって私の職場にやってきたHAYATOと共に
平戸島に沈む夕日をみおくり
車に乗り込んだ。

HAYATOと共に車に乗り込んだ私は
再び森山良子の歌声の余韻が蘇り
「さとうきび畑」のCDをセットした。
静かに哀しい歌声が車の中に広がった。
私は黙って車を出発させた。
助手席のHAYATOは
太陽が沈んだばかりのオレンジに染まった海を眺めたあとも
なぜだかそのまま真横をむいたまま
身動きのせず窓の外を眺めていた・・・。
私は
その小さな肩にそっと目をやり 車を走らせ続けた。
HAYATOの心が歌声に引き込まれているのが
手に取る様に感じられた。
そして
森山良子の歌声の途中でHAYATOは口を開いた。
「 ばあば・・・
てつの雨(鉄の雨)って なあに? 」
体ごと真横を向いて窓の外を眺めながら
HAYATOがたずねた。
「 昔ね
ばあばも生まれていない時に
日本とアメリカが戦争をして
たくさんの戦闘機がやってきて日本人を爆撃したんだよ。
ちっちゃな戦争用の飛行機の中から
戦争用の鉄砲で日本人を殺したと。
小さな飛行機から
雨が降るみたいに いっぱい いっぱい爆弾を落として
それにあたって たくさんの人が死んでしっまたとヨ。」
・・・・・・・
「 HAYATO
夏休みに平和集会でお勉強したよね。
長崎の平和公園行ってきたよね。
戦争はしたらダメよねぇ。
HAYATOたちが大きくなったら戦争はしないだろうから
もう
こんな思いはしないはずよ。」
HAYATOはしばらくすると
くるっと前を向きシートに背中をくっつけて
顔だけ私の方を向けた。
「 ねえ ばあば
鉄の雨が降ってきたら
鉄のバットを造って 日本人がみんなで
打ち返そうよ!
いい考えだと思わん?? 」
私は 思わず笑った。
三人の娘を育てた私は
初孫のHAYATOが育っていく段階で
「男の子の育ち方」の楽しみを数々味わっているが
このHAYATOの発言はまさしく 新発見であった。
この考えは 女には無い!
そう 思えた。
主人がこの場に居たら
きっと 男同士で
戦闘作戦が練られていたかもしれない・・・と
密かに想像力が高まって愉快になった。
HAYATOのおしゃべりは続いた。
「 鉄の周りを
マットや樹脂を巻いてFRPにして
バットを造ろうよ!
ね!!
そうしようよ。 ばあば! 」
何故だか
HAYATOの瞳が輝いていた。
「 戦争はだめよ。 」といった私は
単純にその光景がありありと浮かんできて
不謹慎にも感心して笑ってしまった。
HAYATOはもうCDの歌詞から心を離し
家に着くまで その頭の中は
鉄の雨に打たれる前に
バットで打ち返すため
バットの製造方法に夢中になって取り組んでいた。
私もHAYATOのつくったバットをもって
バッテイングの練習しなければ・・・・
話は
とんでもない方向へと進んでいった。
HAYATOの輝いた瞳の奥から
様々な名案が飛び出してきた。
車内は静かに森山良子の歌声が流れていた。
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
あの日鉄の雨に打たれ父は死んでいった
夏の陽ざしの中で
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
そして私が生まれた日いくさに終わりが来た
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ風が通りぬけるだけ
風の音にとぎれて消える母の子守の唄
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
知らないはずの父の手にだかれた夢をみた
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ風が通りぬけるだけ
父の声をさがしながらたどる畑の道
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ風が通りぬけるだけ
お父さんてよんでみたい
お父さんどこにいるの
このまま緑の波におぼれてしまいそう
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
今日もみわたす限りに緑の波がうねる
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 忘れられない悲しみが
ざわわ ざわわ ざわわ 波のように押し寄せる
風よ悲しみの歌を海に返してほしい
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 風に涙はかわいても
ざわわ ざわわ ざわわ この悲しみはきえない
歌がおわり 車は玄関先に到着した。
一足早く 帰り着いたみいが夕食の準備にとりかかっていた。
夕食時はHAYATOの名案で盛り上がった
主人とみいは大きな声で大笑いした。
HAYATOは
少しアゴをあげて 箸をもった肘を横に広げ
満足げに微笑みながらおかずを口に運んだ。
その 翌日
HAYATOと共に車に乗り込んだ私の言葉に即座に
HAYATOは答えた。
「 HAYATO さとうきび畑 聞く? 」
「 あの歌はよか!
いや~~~な 気持ちになるから
聞きたくない。 」

頭いっぱい埋め尽くしていた決算処理が終わり
やっと
ゆとりを取り戻せた。
今日10月17日は十三夜
きっと
綺麗なお月様を観れるはず。
どうか 良い天気になりますように・・。

身支度を整えそ~~と玄関をでた。
静かに鍵を閉め足元に注意しながら外に出た私は
チラチラと揺れながら輝く満天の星を仰いだ。
空の真ん中でオリオン座が輝いていた。
あかつきを迎えるには
まだ少しだけ時を刻まなければならない。
午前5時少し前
私はそっと車に乗り込み自宅を後に職場に向かった。
静かにスタートした一日に似合うように
カーオーディオから
森山良子の「さとうきび畑」の歌が静かに流れてきた。
耳を傾けながら
2個の点滅式の信号機を通り過ぎ
更に3個の押しボタン式信号機を通過し
自宅から職場まで約6kmの道のりをノンストップで進んだ。
心の中が緑の風に吹かれているような
錯覚に陥りながら
もの悲しい森山良子の歌の世界にひたりながら
自宅前の坂道を下り
田舎の商店街の中を通り
真っ暗な海沿いの田舎道へと車を走らせた。
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
今日もみわたすかぎりに緑の波がうねる
夏の陽ざしの中で
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
むかし海の向こうからいくさがやってきた
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
・・・・・・
カーオーディオから流れてくる「さとうきび畑」は
自宅から職場まで続いた。
お客様の仮眠所のある駐車場にそ~~と車を停めた。
まるでドラマを見ているかのように
11分におよぶ森山良子の歌声から
風に揺れるさとうきび畑の情景が
私の心の中に広がった。
・・・・・・
ざわわ ざわわ ざわわ 風に涙がかわいても
ざわわ ざわわ ざわわ この悲しみは消えない~~。
駐車と同時に森山良子の歌声がおわった。
エンジンを止めた後
その心を込めた歌声に感動ししばらく余韻をたのしみ
そっと 車を降りた。
私は急ぎ足で歩いて事務所の鍵を開けた。
きっと頭上には輝く星空が広がっていただろうが
私にはすでに空を仰ぐ心のゆとりがなかった。
車のキーを外した途端
この後の仕事の段取りが頭の中に広がり
手探りでバックの中の鍵を取り出しながら
急ぎ足で事務所へと向かった。
又 慌しい一日がスタートした。

早朝より遠路足を運んでくださる
たくさんの釣りのお客様の応対をし
昼は海の上の釣りイカダで釣り客の
バーベキューのお世話をするなど・・・
続けてきた17年目の1日が終わった。
午後になって私の職場にやってきたHAYATOと共に
平戸島に沈む夕日をみおくり
車に乗り込んだ。
HAYATOと共に車に乗り込んだ私は
再び森山良子の歌声の余韻が蘇り
「さとうきび畑」のCDをセットした。
静かに哀しい歌声が車の中に広がった。
私は黙って車を出発させた。
助手席のHAYATOは
太陽が沈んだばかりのオレンジに染まった海を眺めたあとも
なぜだかそのまま真横をむいたまま
身動きのせず窓の外を眺めていた・・・。
私は
その小さな肩にそっと目をやり 車を走らせ続けた。
HAYATOの心が歌声に引き込まれているのが
手に取る様に感じられた。
そして
森山良子の歌声の途中でHAYATOは口を開いた。
「 ばあば・・・
てつの雨(鉄の雨)って なあに? 」
体ごと真横を向いて窓の外を眺めながら
HAYATOがたずねた。
「 昔ね
ばあばも生まれていない時に
日本とアメリカが戦争をして
たくさんの戦闘機がやってきて日本人を爆撃したんだよ。
ちっちゃな戦争用の飛行機の中から
戦争用の鉄砲で日本人を殺したと。
小さな飛行機から
雨が降るみたいに いっぱい いっぱい爆弾を落として
それにあたって たくさんの人が死んでしっまたとヨ。」
・・・・・・・
「 HAYATO
夏休みに平和集会でお勉強したよね。
長崎の平和公園行ってきたよね。
戦争はしたらダメよねぇ。
HAYATOたちが大きくなったら戦争はしないだろうから
もう
こんな思いはしないはずよ。」
HAYATOはしばらくすると
くるっと前を向きシートに背中をくっつけて
顔だけ私の方を向けた。
「 ねえ ばあば
鉄の雨が降ってきたら
鉄のバットを造って 日本人がみんなで
打ち返そうよ!
いい考えだと思わん?? 」
私は 思わず笑った。
三人の娘を育てた私は
初孫のHAYATOが育っていく段階で
「男の子の育ち方」の楽しみを数々味わっているが
このHAYATOの発言はまさしく 新発見であった。
この考えは 女には無い!
そう 思えた。
主人がこの場に居たら
きっと 男同士で
戦闘作戦が練られていたかもしれない・・・と
密かに想像力が高まって愉快になった。
HAYATOのおしゃべりは続いた。
「 鉄の周りを
マットや樹脂を巻いてFRPにして
バットを造ろうよ!
ね!!
そうしようよ。 ばあば! 」
何故だか
HAYATOの瞳が輝いていた。
「 戦争はだめよ。 」といった私は
単純にその光景がありありと浮かんできて
不謹慎にも感心して笑ってしまった。
HAYATOはもうCDの歌詞から心を離し
家に着くまで その頭の中は
鉄の雨に打たれる前に
バットで打ち返すため
バットの製造方法に夢中になって取り組んでいた。
私もHAYATOのつくったバットをもって
バッテイングの練習しなければ・・・・
話は
とんでもない方向へと進んでいった。
HAYATOの輝いた瞳の奥から
様々な名案が飛び出してきた。
車内は静かに森山良子の歌声が流れていた。
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
あの日鉄の雨に打たれ父は死んでいった
夏の陽ざしの中で
ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
そして私が生まれた日いくさに終わりが来た
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ風が通りぬけるだけ
風の音にとぎれて消える母の子守の唄
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
知らないはずの父の手にだかれた夢をみた
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ風が通りぬけるだけ
父の声をさがしながらたどる畑の道
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ風が通りぬけるだけ
お父さんてよんでみたい
お父さんどこにいるの
このまま緑の波におぼれてしまいそう
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が通りぬけるだけ
今日もみわたす限りに緑の波がうねる
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 忘れられない悲しみが
ざわわ ざわわ ざわわ 波のように押し寄せる
風よ悲しみの歌を海に返してほしい
夏の陽ざしのなかで
ざわわ ざわわ ざわわ 風に涙はかわいても
ざわわ ざわわ ざわわ この悲しみはきえない
歌がおわり 車は玄関先に到着した。
一足早く 帰り着いたみいが夕食の準備にとりかかっていた。
夕食時はHAYATOの名案で盛り上がった
主人とみいは大きな声で大笑いした。
HAYATOは
少しアゴをあげて 箸をもった肘を横に広げ
満足げに微笑みながらおかずを口に運んだ。
その 翌日
HAYATOと共に車に乗り込んだ私の言葉に即座に
HAYATOは答えた。
「 HAYATO さとうきび畑 聞く? 」
「 あの歌はよか!
いや~~~な 気持ちになるから
聞きたくない。 」

頭いっぱい埋め尽くしていた決算処理が終わり
やっと
ゆとりを取り戻せた。
今日10月17日は十三夜
きっと
綺麗なお月様を観れるはず。
どうか 良い天気になりますように・・。

Posted by パールじゅんこ at 03:30│Comments(0)