
2015年03月24日
白木蓮

白き乳の
ふくらみおもふ木蓮の
日光のなかに咲きみだれたる
== 前田 夕暮 ==


白木蓮が咲き乱れ
自由奔放に枝を広げた松が栄え
椿の花がつやっぽい葉の陰でうつむき
庭桜が朝日に向かって可憐さをアプローチしていた。
朽ち果てた小さな廃屋が大木となった庭木に埋もれていた。
お日様に見守られた家族の暮らしがここに在ったことを
感じ取ることが出来た。
かつて 溢れる愛情を注がれた花々は
主のいない朽ち果てた屋敷跡で
今もなおその帰りを待っているかのように
一心不乱に花を咲かせ
春の訪れを謳歌していた。

白き乳の
ふくらみおもふ木蓮の
日光のなかに咲きみだれたる
満開の白木蓮の大木を眺めて通る度に
明治の時代を生き抜いた
前田夕暮の短歌を思い出しながら
職場へと向かう春の日々が続いている。
野山の頼りない淡々しい緑は日増しに濃ゆくなり
風が吹きそよぐと
様々な音楽が奏でられているかのように
感じずにはおれなかった。

Posted by パールじゅんこ at 00:45│Comments(0)