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2015年11月02日

さよなら  にい。

さよなら  にい。

右手の悲しみを
  そっと左手が受け止めて
左手の決意を
  柔らかく右手が包み込み静かな時間が流れる。

神さまが
  誰の味方なのか・・・
  誰に試練を与えるのか・・・  解らない。
      私はすがる時間を与えられなかった。
仏さまに
  逝ってしまったにいをお導き下さい・・・  と
      私にはそう祈るしか術がない。


激しい情熱を失った陽射しの中に立ち
とめどなく湧いてくる過ぎ去りし日々の哀愁を
そっと抱きしめて合掌する。


三方を低い丘に囲まれた兄の真新しい墓標の前に立ち
そっと手を合わした。
黄色く色づいた木々が一斉に沈黙し、
太平洋から吹いてくる風は一瞬その動きを止めた。
かすかに聞こえてくる潮騒だけが
静かに手を合わせた私たちを包み込んだ。

さよなら  にい。


それぞれが
それぞれの思いで
そっと目を閉じた。

にいが帰らぬ人となってから四十九日が過ぎ去った。

ピンと来なかったにいの死を現実のものと受け止める日が来た。

大阪から 
東京から 
長崎から 
そして常ににいを囲み交わっていた地元の親戚たちが
一同ににいの墓の前で手を合わせた。


さよなら  にい。

菊の花の香りと
紅葉を始めた木の葉の乾いた匂いと
一面を漂っている線香の香りが
深い悲しみを引き起こすのである。

  健康だった兄の突然の病
   向こう意気の強い兄との突然の別れ

誰一人として
  予測していなかった出来事であった。
誰もが深い悲しみを
  乗り越えていかなければならない出来事である。


さんさんと陽が降り注ぐ穏やかな墓地で
打ち寄せる波の音をBGMに
次男坊気質の気丈夫なにいは永遠の眠りについた。
かけがえのない家族を残して逝ってしまった。
私達兄姉妹は
にいと過ごした幼少の頃の尽きることのない思い出が
胸に溢れ涙が込み上げてきた。

さよなら  にい。


  私は生かされている。
  明日へ向かって・・・。

さよなら  にい。



Posted by パールじゅんこ at 00:08│Comments(0)
 
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えっちら おっちらと進む人生。
苦しいことも乗り越えたはず。
悲しいことも通り過ぎたはず。
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絶対幸せで楽しいはずと
100%信じている私こと じゅんこです。


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