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2015年12月15日

山の上の素敵なご夫婦

庭先の薄暗い東屋の中のいろりで
チロチロとたき火が燃えていた。
いろりの周りに置かれた大きな切株に
腰を掛けるように白髪のご主人から勧められた。

  山の上の素敵なご夫婦
天井から下がった自在鈎に下げられた鉄瓶から
湯気が揚がっていた。
私達の到着に合わせ
薪をくべ湯を沸かしてくれていた暖かい気持ちが
伝わってきた。

手拭いを手にした奥さまは
ゆっくりと鉄瓶をかぎから取り外し急須にお湯を注いだ。
60歳半ばを迎えられた奥さまは
肩に届く髪をブロンズ色のおしゃれなカラーに染め
古風な染物の割烹着に身を包まれていた。

小さな田舎町で暮らす私たちは
仲良しではないが
同級生の娘を持つ親同士として
昔から顔見知りであった。

「 庭の紅葉がやっとみられるようになりましたよ。
  今年はあまり綺麗じゃないが
  いらっしゃいませんか? 」

奥さまから頂いた一報で
私はKUMIKO先生に電話を入れた。
「紅葉が綺麗になったらお誘いしたいところがあります。
出かけましょう。」と
私はKUMIKO先生をお誘いしていたのである。
抗ガン剤による治療を始めているKUMIKO先生の
体調が良いことを心から願っての電話だった。


「 貴方からのお電話を
  今か 今かと待ちわびていましたよ。
  抗がん剤の投与が上手く行き
  食欲もありとっても元気ですよ。 」  と
きびきびとした弾むような声が受話器の向こうから
響いてきた。


この田舎町から
広い世界に通用する子供たちを育て上げたいという
強い信念を持ち
35年という歳月を塾を経営してきたKUMIKO先生は
厳しい 妥協を許さない指導者であった。
子供たちやその親を引っ張て来た熱心な指導者は
突然の病気の前で
塾の指導者という立場を退くことを強いられた。
KUMIKO先生の教育への熱意は衰えることは無かったが
病気との戦いは生半可なものではないことを医師は語ったのである。

10年をひと昔・・・・というなら
遥か昔の20代の頃に私はKUMIKO先生のアシスタントとして
彼女のそばで働いていた。
何事にも動じない強い信念の持ち主のKUMIKO先生のそばは
三人の娘を育てていた母親の私には居心地が良かった。
優柔不断を絵にかいたような私は
彼女の姿勢に導かれ娘たちの教育に当たった。
だが子供たちの成長と共に加わる出費の負担は
我が家に私の収入が必要になった。
私は短いパート勤務を退き高収入を求め
KUMIKO先生のもとを去ったのであった。

いわゆる・・
従業員である私は
とてもKUMIKO先生から心をかけて頂いていたにも関わらず
彼女を裏切りその職場から去っていったのであった。
虫がいいかもしれないが
常に向上心の強い彼女のそばは
今でも私には心地良かったのである。

  山の上の素敵なご夫婦
   
囲炉裏にくべられた薪は
ぱちぱちと音を立て乍ら燃え
白い煙が細く長く東屋の中で立ち込めていた。
棚の上にはススで汚れた大きな羽釜が
沢山並べられていた。
その大きな羽釜で春にはタケノコを茹でるそうである。
私たちはいろりの火の周りに座り
次々と他愛もない話に花を咲かせた。

お茶を飲み終えた私たちは
MORIさまの庭先の紅葉を眺めながらぐる~とお家の周りを散策した。

山の上の素敵なご夫婦


山の上の素敵なご夫婦

山の上の素敵なご夫婦


  庭の紅葉を愛でた後
  古民家のおたくに招き入れられた。

山の上の素敵なご夫婦


「 お寿司でもつくりましょう。」とおっしゃった奥さまからは
素晴らしいお昼ごはんを準備して頂いたのである。

私は まさか・・   まさか・・・
こんな手作りの素敵なランチをご馳走になれるなんて
おもってもいなかっただけに驚いた。

「 写真をとってもいいですか? 」
即座に許可を得た。

山の上の素敵なご夫婦

MORIさまのお家のお米の寿司
MORIさまの畑の蕪やホウレンソウやミニトマトは
酢の物や和え物 ハチミツ漬けに料理されていた。
おしゃれな器に盛られたその数々のおかずは
どんな有名な高価な料亭にも勝るものがあった。


山の上の素敵なご夫婦

 奥さまの手作りのお寿司には
 奥さま手作りの桜でんぶがふんわりと上品にトッピングされていた。

 材料は「オウガン」であることを聞き驚いた。
 釣り人が 持ち帰るのを嫌がる代表的な魚から
 こんなに上品な桜でんぶが出来上がることに感激した。

 KUMIKO先生は驚くほどの食欲があった。
 自分でも驚くほどの・・・・

 沢山お寿司を食べて
 おかずをぺろりと食べて・・・
 コーヒーをご馳走になった。

「またたび」や「さるなし」を育てたご主人の苦労話や
「どんぐりの森」や「小さな実の果樹園」に取り組みたい夢は
暖かい大きな希望が湧いてきて楽しかった。

KUMIKO先生の熱意のこもった教育の話しは
背筋がピンと張り 気持ちの良い緊張感が得られた。

奥さまの手作りの料理の話は
食べることの幸せが満ち溢れていた。

ご夫婦のおもてなしの居心地の良さに
それぞれが沢山おしゃべりを楽しみ長居をしてしまった。

山の上の素敵なご夫婦


玄関前のなだらかな山肌に育てられた「さるなし」を頂き
お二人に別れを告げた。

主人の運転する車は
MORIさまのお宅から10分ほどでKUMIKO先生の家の前で止まった。
更に3~4分で我が家に到着した。

時計は間もなく午後4時を示していた。

山の上の素敵なご夫婦


山の上の素敵なご夫婦


  僕ボクサー    エイサー   エイサー   僕ボクサー   エイサー   エイサー   僕ボクサー


   今日は
   毎年一緒に伺っていた孫くん抜きの
   大人だけの時間を謳歌した。
  
山の上の素敵なご夫婦
   ☆ 一昨年の森さま宅の素晴らしい紅葉

山の上の素敵なご夫婦

  
山の上の素敵なご夫婦



  つらいことも
      苦しいことも
         乗り越えながら
  
  幸せな時間が 
       たくさん
           たくさん 積み重ねられていき

  年が明けると
       私は還暦を迎える。

山の上の素敵なご夫婦
 



Posted by パールじゅんこ at 02:22│Comments(0)
 
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プロフィール
パールじゅんこ
パールじゅんこ
えっちら おっちらと進む人生。
苦しいことも乗り越えたはず。
悲しいことも通り過ぎたはず。
やってくる明日は
絶対幸せで楽しいはずと
100%信じている私こと じゅんこです。


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