浮雲

あらあら
　　これはこれは　あの例の磁気ネックレスのビーナスからの
　　ご招待券ではありませんか。







　娘も笑った。
　　「　お母さん　
　　　　お父さんが買わされた磁気ネックレスの会社の
　　　　無料招待券だよね。」

そうそう。
あれは去年の5月のこと。
娘が私の名前で応募した無料バスツアー当選券を
母の日のプレゼントとしてくれたので
主人を誘って出かけ
まんまと巧みなセールスにのって
磁気ネックレスを買ってしまったのである。

今日
佐賀県鳥栖にある「ビーナス」から
「本決算大感謝祭　無料ご招待状」が届いたのである。

春らしいピンク色のパンフレットに
サンゴカラーの遠赤磁気ネックレスが載っていた。
そして医療機器承認番号が記されていた。

医療機器承認番号とは・・・？

さっそくネットで検索してみると次の記事を見つけた。


医療機器には必ず医療機器認証（又は届出、承認）番号がついています

管理医療機器には登録認証機関による認証が義務付けられていますし、
一般医療機器も義務はないものの自主的に認証を受けて
認証番号を取得しているものが多く見られます。
よって、市販されている医療機器は
概ねこの認証番号がついている製品が主流であり、
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の
規制がかかっている医療機器であることを確かめる有力な判断材料になります。
尚、一般医療機器においては認証は義務付けされていませんので、
厚生労働省に届け出て製造販売届出番号のみを取得した製品もあります。
又、管理医療機器のうち、
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で
認証基準が定められていないものは
大臣による承認が必要になりますので、
その場合は管理医療機器でも承認番号を取得する必要があります。
（認証で良い場合でも、敢えて承認を受けている製品もあります）
高度管理医療機器は使用リスクが高いことから、家庭用に販売されることはほとんどありません。

以上まとめますと
◎　医療機器には医療機器認証番号（一部届出番号、承認番号）がついていますので
購入の際にお確かめ下さい。
◎　認証を受けた医療機器については
PMDAのHP「登録認証品目の公表について」で、ある程度閲覧できます。
◎　届出、承認を受けた医療機器について調べたければ
PMDA、又は厚生労働省に直接電話でご相談下さい。


ふむふむ・・
騙されたのかな？と思ったが
まあ　ちゃんとした製品なんかなぁ。と無知で単純な私は軽く流した。

とっても素敵なパンフレットで
　熊本山鹿ニューグランドホテルで入浴・昼食に2時間
　ビーナスでショッピングに2時間　
のプランが設定されていた。
　　　　　

思わず素敵な宝石の写真にうっとりしてしまった。
　いけないいけない！！
ツアーに参加すれば私も良いカモになってしまいそうである。
おしゃれに免疫の出来ていない私は
ついつい買ってしまいそうな気がした。
本当に流行の宝石がお手頃価格で手に入るのかもしれないが
私の指はとっくに指輪が似合わなくなってしまった。

もう一度人生をやり直せるなら
おしとやかで上品な女の子として育ち
香水を上手につかい　身のこなしも　体つきもしなやかな
素敵な大人の女性に成長し
豊かな人生を送りたいものである。

　きめ細かい色白の肌
　しなやかな指
　細い肩
　長く美しい脚

私は何一つ当てはまらない・・　とっても残念だが。
だが
母は私を育てるにあたって
常に私に言ってきた言葉があった。
「　笑っとき。　笑っとき！　
　　　　いつでも笑っとけばあんたは上等！」　　と。
母は私に呪文を唱えた。
私は母の言葉に洗脳された。
いつも笑顔であることに努めた。

　肌の色が黒く
　太い指を持ち
　お尻が大きく足が短い
　がっちりとした肩をした私は
　コンプレックスを持つことも無く育った。

が　もう一度人生が与えられるなら
宝石や香水の似合う人生を歩みたい。

仕事に明け暮れる私の下に届いた一通の招待券は　　
私を夢の世界に誘ったのである。

　　　　

サンゴカラーの遠赤磁気ネックレス
　　　　素敵だろうな。
ネックレス　イヤリング　ペンダント
あぁ　ため息が出そう。

　　　　欲しいなぁ　　私も。
　　　　似合わないけれど　私も欲しいぁ。

欲望を閉じ込めてゴミ箱へとパンフレットを投げ込んだ。

　　　　　　　　　　　　　

小学2年の時にベトナム　ホーチミンに行き
小学3年生の今年　マレーシアへと旅をした孫くんは
毎晩
脱衣場に貼ってある世界地図を眺め
次回の海外旅行先を練っている。

　　　　

私と主人はせっせと働き
家事をまかせている娘は上手にやりくりをして
孫くんは高価なおもちゃは我慢して
家族全員で節約を心がけなければならない。

世界を旅したい・・という夢の為に。

　　　

　　　　　　　きっと　
　　　故郷が一番素敵だと
　　　孫くんは思うはずである。