浮雲

眠っている間に
大腸の一番奥にある盲腸と大腸の一部分が
切り取られた。

主人は
「　ホルモン焼きにしたら
　　柔らかくて美味しそうだったぞ！」と
笑った。


術後　私の体は順調に回復していった。

　　～～～～～　　～～～～～　　～～～～～

２月１７日（金）　手術後３日目

　　　　
　　

    手の甲からの点滴と
　　お腹のチューブが私の体から出ていた。

　　点滴の下げられたスタンドをコロコロ押して
　　トイレに行けるようになった。

 朝食　　ホットりんごジュース　　お茶
　　　　　　
　
　昼食　ホットりんごジュース　　お茶
　　　　　　　

　夕食　ホットりんごジュース　　お茶
　　　　　　


２月１８日（土）　手術後４日目

　　朝食　

　　昼食　


　　夕食　



　　水分しか摂っていないのに
　　ゆるく固まったウンチが出た。

　　切って繋いだばっかりの大腸を
　　ウンチが通っていったのに
　　痛みも違和感も感じないことがとても不思議に思えた。

　　
　　点滴の下がったスタンドをコロコロ押して
　　病棟の廊下でリハビリが行われた。

　　ベットから起き上がって動けることが
　　嬉しかった。

　　本を読んだり　窓の外を眺めたり・・・
　　なんとなく一日が過ぎて行った。
　


　
２月１９日（日）　手術後５日目

　　　お腹から出ていたチューブと点滴が外れた。
　　　　　体からすべての器具が外された。

　　　食事が摂れるようになった。

　朝食


  昼食



　夕食




２月２０日（月）　手術後６日目

　　シャワー使用ＯＫ！　

　朝食



　夕食


ベットから起き上がれる快適さを満喫していた。
窓際に食事用の小さなテーブルを置き
椅子に座って一日を過ごした。

　　　　

　　　　　

　　　　　　
　折り紙を折ったり
　コミックを読んだり
　大人の塗り絵をしたり
　タブレットで調べ物をしたり

　自分ちに居るかのように
　カーテンで仕切られた独りの空間で
　のんびりと好きに過ごしている私を見て
　看護師さんは笑った。
　「　優雅ですね。」と　
　私は束縛されない自由な時間を手に入れ
　幸せだった。

　窓の外はすっかり春のような気配がしていた。

　
2月２１日（火）　手術後７日目


　　形のはっきりしたうんちが出た。
　　おならも出た。　
　　　　
　　午後　約３０分間　リハビリ

　　　

　　朝食　　　　　　　　　　　　昼食
              

　　　　　　　　　　　　夕食 



２月２２日（水）　手術後８日目

　　　朝食　　　　　　　　　昼食

　　　　

　　　　　　夕食



２月２３日（木）　手術後９日目

　　退院後　自宅での食事についての栄養指導　　　


　　　　朝食　　　　　　　　　昼食
　　　　

　　　　　　　　夕食



　　　　主治医から病理説明を受けた。

　　　手術によって切除された盲腸は
　　　組織検査に出されていた。
　　　　　　
　　　
　　　私の盲腸ガンは病理判定の結果
　　　「　ステージⅡ　」とランク付けがされた。

　　　　　固有筋層を超えて周囲に広がっている。
　　　　　腸壁を貫くがリンパ節転移はない
　　　　　他の臓器への転移はない
　　　　　ただし
　　　　　静脈侵襲の疑い　があるため
　　　　　術後半年間の内服薬による
　　　　　補助化学療法（抗がん剤治療）をうけることが
　　　　　望ましい。

　　　　　私に投与される内服薬は「ゼローダ」である。

　　　　　　　　　　
　　　　　抗がん剤治療として
　　　　　３月中旬ころに再び３日間だけ入院し
　　　　　あとは自宅で　「ゼローダ」を服飲し
　　　　　３週間毎に通院しながらの
　　　　　半年間の治療を行う計画が立てられた。　　

　　　　　当然　知識が私は全くないので担当医師に
　　　　　全てを託した。


２月２４日（金）　手術後１０日目
　
　　朝食　　　　　　　　　昼食　　　　
　　

　　　　　　　夕食


　　　　毎日　楽しみにしていた食事は
　　　　この日が最後となった。

　　　　　　　　

　　　　入院１３日目　手術後１０日目の夜が
　　　　ゆっくりと　過ぎて行った。



２月２５日（土）　手術後１１日目　　退院
　
　　１４日間の入院生活を終え自宅に戻った。
　　庭先も日差しもすっかり春そのものだった。

　　　
　　　
　　我が家の庭の梅が
　　はにかむように私を迎えてくれた。　

　　　　今日は私の誕生日だった。

　　　　　私は　６１歳を迎えた。